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宝塚に負けず劣らずの本格的なレビューショー

写真提供/白い部屋

 そのために、いまでも情報収集は貪欲に行っている。

「テレビやYouTubeはもちろん、バレエやオペラ、歌舞伎やお芝居にも頻繁に足を運んで刺激を受けるようにしています。ステージ衣装を買うために海外に行くのも、刺激を受けるため。一流のものも、そうでないものも含めてさまざまなエンターテインメントに直に触れること。これは決して忘れてはいけない大切なことですから」

 照明や音響を手掛ける多くのスタッフがコンチママや安河内の要望に応えるべく、日夜入念なリハーサルを繰り返している。衣装担当者は「よりきれいに見えつつ、踊りの動きを邪魔しないもの」を第一に、切ったり、縫ったり、微調整を繰り返している。

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 ママをはじめとする大勢の情熱を理解しているからこそ、キャストたちも真剣だ。

 3カ月に一度変わる演目に向けて、日々のレッスンを欠かさない。「ショーが踊りたいから」という理由で、「白い部屋」に入店する者もいる。

 この店にかかわるすべての者が、「ショータイム」にプライドを抱いているのだ。

華やかなショーに秘められた真摯なメッセージ

 ショーを通じてコンチママが客に届けたいこと、それが「元気」だ。

 ──ショーを通じて伝えたいものはなんですか?

 そんな質問を投げかけると、その口調は70歳を過ぎたとは思えぬほどエネルギッシュなものだった。

「根底にあるのは、『お客さまに楽しんでいただきたい』という思いです。やっぱり、楽しく帰ってもらうのがいちばん。お客さまはそれぞれちがいます。お酒を飲んで楽しいショーを見て、日頃の鬱憤を晴らしたいという人もいるだろうし、傷つき疲れ果てている人もいるかもしれない。そんな人たちに、『ああ、今日は来てよかった』とか、『ショーを見て元気になった』とか、『また明日も頑張ろう』って思っていただきたい。その思いだけですね」

 こうして今日も、華やかなショーが展開されているのである。

生と性が交錯する街 新宿二丁目 (角川新書)

長谷川 晶一

KADOKAWA

2020年4月10日 発売