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SNSの申し子・春名風花に聞いた「ツイッターの治安はやっぱり悪化しましたか?」

春名風花さんインタビュー #2

note

――春名さんも長年悩まされてきた、誹謗中傷をはじめとするSNSのトラブルは近年さらに目立つようになりました。ツイッターを始めた10年前と今とでは“治安”は悪化しているように感じますか?

春名 うーん……。私の周りで言えば、治安は昔の方が単純に悪かったように思いますね。

――良くなっている?

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春名 うーん、良くなっているとは違うんです。そもそもの誹謗中傷の構造自体が違ってきているというか……。

 昔はツイートの内容を全く見てない、もしくは見る気のない人が飛び込んできて「子どものくせに!」と言ってくるケースが多くありました。野次馬のような感じで、この場合はとにかく「ツイートを読んでください」に尽きます。最近はまたそれと違っていて、「行きすぎた正義」を感じることが多いんです。ツイートを読んだ上で意見を言ってきて、最後に一言「死ね!」「自殺しろ!」と終わるみたいな。

 

――突然すぎて怖いですね。それが「行きすぎた正義」?

春名 自分の中にある意見を相手に伝えることは全く問題ではありませんし、他人なのでテーマに対して意見が食い違うことは絶対にあると思います。でも、だからと言って自分の意見を相手に説得する手段として「人を傷つける」のは絶対にダメですよね。

――トラブルが起こる他の理由としては、「140字という限られた範囲で伝えなければならない」という制約も挙げられることがあります。ツイッターで“議論”は成立すると思いますか?

春名 難しいですね……。相手のことをちゃんと見ることができるならば、成立すると思います。ツイッターはタイムラインで次々と情報が入ってくるので、例えば5つの情報をすべて読んで成立する意見を、情報を見飛ばして誤って捉えてしまう危険性があります。それを理解した上で、注意深く情報を見たり、時には相手のプロフィールを見て過去のツイートを遡ったりして、いつも以上に“相手を知る努力”が必要だと思います。これは私も意識的に注意しなければと思っていることで。どんなに多くの人が支持していても、ツイッターの流れに流されることなく、精査することを怠ってはいけないですよね。

 

――今の時代にツイッターを使うことって相当難しいという気がしてきました。

春名 私も“SNSの申し子”と呼ばれたりしてきましたが、「自分が本当に正しい使い方をしているのか」は常に注意しなければと思ってきました。その難しさに悩んで、ある時からツイッターを辞めたいと思い始めましたし……。

――そうですよね。 20万フォロワーも抱えた春名さんが今年の5月にツイッターを辞められたのはちょっと衝撃でした。