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“布団を叩く音もセックスの音かと…” 「セックス依存症」と診断されるまでの”ヤバい日々”

漫画家・津島隆太さんインタビュー#1――依存症体験を発信し続ける

2020/11/12

性欲とセックス依存症は別物

――セックス依存症って、どういう治療法があるんですか?

津島 漫画ではグループセラピーを中心に取り上げていますが、投薬治療ももちろんあります。うつ病などの治療に使う「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、副作用として勃起不全があるので、それを使うんです。

 私もうつ病の治療としてSSRIを服用していた時期がありました。勃起不全にもなったのですが、その頃が最もセックス依存症の症状が強く出たんです。だから、私の場合は投薬治療ではなくグループセラピーを中心に行いました。

©️杉山拓也/文藝春秋

――勃起不全に陥っても、依存行為がやめられないんですね。

津島 性欲とセックス依存症は別物です。勃起不全で性欲を抑えたからと言って、依存症が治るわけではないんです。

 そもそも、性欲は発散したら収まりますが、依存症は収まりません。依存症は、寂しさや承認欲求、幼いころの虐待経験などから、強迫観念的に「セックスをしないとおかしくなる」と思いこんでいるんです。

グループセラピー参加者は「大人しくて真面目そう」

――グループセラピーが治療の中心だったということですが、通ったきっかけは? 

津島 漫画のエピソードと少し違うんですが、私の場合は自助グループが実施するグループセラピーを病院から紹介されたのがきっかけです。

 グループセラピーの参加者は、性犯罪や不倫を止められない人がほとんどでした。私はどちらも犯していないから、最初は通うのに抵抗感がありましたね。そこに通ったら「自分はセックス依存症者だ」と周囲に言いふらしているような気がして、葛藤しました。

――実際に通われてみて、いかがでしたか?

津島 セックス依存症といえば性に奔放そうなチャラ男みたいな人を想像しがちですが、実際には大人しくて優しそうな、真面目な方が多くて驚きました。

 通っている最中は、嗜癖であるセックスから抜け出すために、セックスだけでなく自慰行為もやめていました。漫画では「ブラザーシップ」という名称で紹介していますが、自助グループの先輩に個人的に相談する「スポンサーシップ」があって、辛くなるとその方に相談していましたね。

 漫画連載が始まってからは、「作品に描かれるんじゃないか」と参加者を不安にさせてしまう可能性があるので、セラピーに通っていません。それでも、連載前に1年半以上は通いました。

日常生活の音が、すべてセックスしているように感じられた 『セックス依存症になりました。<決定版>』第1話より

――参加者には女性もいるんですか?

津島 いますよ。グループセラピーは10人前後が集まっていて、男女比がおよそ9対1くらい。

 女性だけで行うグループセラピーもあるのですが、参加人数が少ないので運営が難しいらしいです。