Q 北朝鮮、結局、どの肩書きが一番えらいの?
1月10日、北朝鮮の金正恩氏が「総書記」に就任したというニュースを聞きました。北朝鮮のニュースには「朝鮮労働党委員長」「国防委員長」「国務委員長」「総書記」「国家主席」と、いろいろな肩書きが出てきます。「総書記」は金正日氏が使って以来の復活、金日成氏は「国家主席」の肩書きを使っていたと解説で聞きましたが、全員がその時代に北朝鮮で「一番えらい」存在だったと思います。それぞれどんな違いがあり、どの肩書きが「一番えらい」のでしょうか。(20代・男性・学生)
A 国家のトップ、英語で言う「プレジデント」は「国家主席」です。
いろいろな肩書でややこしいですね。北朝鮮のトップは、朝鮮労働党のトップであり、国家のトップでもあるので、それぞれ肩書の名称が異なるのです。
金正恩の祖父の金日成は、朝鮮労働党の委員長という肩書を使っていたことがありますが、1966年以降は「総書記」という名称を使いました。日本風に言えば「書記長」です。
一方、国家のトップでもあったので、こちらの名称は「国家主席」です。英語で言えばプレジデントです。
金正日になると、朝鮮労働党のトップとして「総書記」の肩書は継承しましたが、国家主席の名称は受け継ぎませんでした。金日成が神格化されていたため、敬遠したようです。その代わり、国家組織のトップを国防委員会にして、そこの「委員長」という肩書を使用していました。
ですので、2002年、小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問した際、小泉首相は「金正日委員長」という呼び名を使っています。つまり、朝鮮労働党のトップに会ったわけではない、国家のトップに会い、国家と国家の約束をしたのだという意味だったのです。
金正恩は、当初は父親に遠慮して総書記の名前を使わず、第一書記や委員長の肩書を使っていたのですが、遂に総書記の肩書を継承しました。それだけ自分が権力を掌握したことを内外に鮮明にしたかったのでしょう。
今後は、国家のトップとして、祖父が使用した国家主席の肩書を使うことになるのか注目されています。
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