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「軽=ショボい」も成り立たない

 このように、軽ユーザーが低所得層ではないことを示しても、依然として軽自動車にネガティブな印象を抱く者は多いだろう。その理由としては、軽自動車そのものに付随する「狭い」「うるさい」「安っぽい」といったイメージが考えられる。ところがこれも、現在ではまったく現実に即したものではなくなっている。

 まず、「軽自動車は狭い」という点について言えば、これは90年以前の「旧規格」の印象に引きずられた価値観だろう。90年と98年に行われた軽自動車の規格改定により、ボディサイズが拡大していくにつれ、「室内空間をいかに広くとるか」というメーカー間の競争も激化していった。

 結果として、現在のN-BOXやタント、スペーシアやルークスといった「スーパーハイト系」の軽自動車は、多くの普通車が太刀打ちできないレベルの後席空間を実現している。

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N-BOX後部座席 写真=筆者提供

 圧倒的な足下空間・頭上空間、優れた乗降性、多彩なシートアレンジにより、スーパーハイト系の軽自動車は子育てや介護など幅広いニーズに対応できる。もはやこれを「狭い」と言えるのは、後席にロングスライド機構を備えたミニバンくらいのものだろう(軽自動車の車内空間の広さについてこちらに写真を多数掲載しております)。

走行性能も向上

 かつての軽自動車には、「フル乗車だと坂道で進まない」「高速でエンジンが壊れそうなくらい五月蠅くなる」といった事態が生じていたが、現在のターボ付きモデルであればそうした心配もない。

 かつての軽自動車は100km/h巡航時に4000~5000回転ほどエンジンが回るケースもしばしばだった。しかし現行車種は同条件で2000~2400回転程度に抑えられており、遮音性能も向上しているから、かつての「必死さ」を感じさせなくなっている。普通車のコンパクトカーと遜色ないくらい、高速や坂道の走行に不安がなくなった。

 軽自動車といえば、「振動や音がダイレクトに伝わってくる」イメージがあるかもしれないが、現在はボディ剛性も高まり、スムーズな乗り心地を実現している。N-BOXなど200万円前後のモデルはとくに、走りや内装など質感の向上が著しく、もはや「軽自動車にしては」という前置きすら必要ないほどの水準だ。