1ページ目から読む
5/5ページ目
横浜市の接種予約で1分間に200万アクセスが意味するもの
日本人は1年余に及ぶコロナ禍にあっても、混乱せずに我慢を続けてきました。コロナという特殊事情下において、機能不全に陥り、思考停止になっている政治が、律儀で真面目な国民性によって救われているといえます。
それでも、静かな炎は燃え広がっていると思います。ワクチンの予約電話を何度かけても繋がらないので、老人たちが市役所や町村役場に列をなしているというニュースが最近よく流れます。あれは、政府に対する強烈な不信の表れでしょう。65歳以上の高齢者は全国に3600万人。無論、全員が有権者です。この人数が怒りを募らせれば、政治を大きく揺るがす動きになります。
横浜市の接種予約で1分間に200万のアクセスがあり、予約が中断されたことが大きく報じられました。200万という数字は「おじいちゃん、おばあちゃんのために」と、家族総出で予約に手を尽くした姿が目に浮かびます。この「世の中の人々の感情」を無視すれば、政治はとてつもなく大きなしっぺ返しをうけるでしょう。
菅政権の大きな分岐点は、7月末の期限を守れるかどうか
菅首相は4月26日、前日の国政選挙3戦全敗を受けた会見で、「7月末を念頭に、高齢者に2回目のワクチン接種を終えたい」と語りました。接種を進めて支持率を上げたいという思惑があるのでしょう。7月23日から五輪が始まります。
しかし、逆に7月末までに接種を終えることができなかったら、静かな炎はどうなるのかーー。自ら設けた7月末という期限が守れるかどうか。ここが菅政権にとって、大きな分岐点になることは間違いありません。
(取材・文 石井謙一郎)