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「勝手にしろ」五輪中止発言で二階幹事長が見せた“動物的勘” 菅政権はコロナとオリンピックを乗り切れるか

後藤謙次「政局」インタビュー#2

2021/05/09
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ほとんど懇談や議論がない菅内閣の閣僚懇談会

 ワクチン供与のお願いのように、菅首相がいきなり前に出た結果、必ずしも良い方向に物事が進まないというのは、菅政権が発足して以来、何度も繰り返されてきたことです。

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 何事にも自身が関与して、「菅一存」になってしまう。これは、首相の性格によるものだと思いますが、菅政権は、安倍政権と違って、「チーム菅」と呼ばれるような周辺ブレーン集団の姿が見えません。正式な閣議のあとに閣僚懇談会という集まりがあるのですが、ある閣僚に聞くと、安倍政権では閣僚懇談会で活発な議論があったが、菅内閣ではほとんど懇談や議論がないそうです。

分科会で出された意見と政府の結論が往々にして違う方向へ向かう

 それから、菅政治の大きな特徴として、結論だけがポンと出され、プロセスや裏付けの説明がおろそかになる点があります。福島第一原発の処理水を海に流すことや、運転開始から40年を超えた原発の再稼働も、唐突に決定された印象を与えました。

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分科会会長の尾身茂氏 ©文藝春秋

 私が最も違和感を持ったのは、新型コロナウイルス感染症対策分科会でいろいろな意見が出されても、結論が往々にして違う方向へ行くことです。4都府県で発令された3回目の緊急事態宣言についても、尾身茂会長は期間を長くすべきだと主張したのに、当初は5月11日までの17日間と決めました。しかも短期間にした根拠はよくわからないまま。結局、5月7日には宣言を延長することが決まりました。