それでもオリンピックに立候補する国々
それなのに、オリンピックの開催を招致しようとする国はいまだに多い。今年2月にIOCは2032年の開催地選びを行い、オーストラリアのブリスベンが最有力候補であることを発表した。11年後とはいえ、この状況下で招致を進める国々(オーストラリアやカタール)に驚いた人も多かったはずだ。
オーストラリアだけではない。巨大な負担が見えているはずのオリンピック開催に、なぜか多くの国が立候補し続ける。
昨年度のGDPランキング上位20カ国を見ても、米国、中国、日本、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、カナダ、韓国、ロシア、スペイン、メキシコ、スイスなど17カ国は何度も立候補している。
とりわけアメリカ、スペイン、ドイツ、フランス、中国、イタリアあたりは常連中の常連。言い方は悪いが、手当たり次第に立候補しているようにも見える。
その一方で、招致レースから距離を取り続けている国もある。オランダがその1つだ。
「スポーツ大国」なのに立候補しない国
招致する国があれば、招致に興味を示さない国もある。
なんとなくシンガポールは招致しないようなイメージを持っていたが、残念ながら2028年大会の際にマレーシアと共同開催を計画していた。シンガポールも五輪に興味があったのかと裏切られた気分になった、という個人的な意見はさておき、オリンピックへの冷淡さが際立つのがオランダだ。
オランダも過去には、1928年のアムステルダム五輪(人見絹枝さんが出場)、1980年のパラリンピックを開催している。
五輪のメダル獲得数も夏季冬季通じて415個。夏季の競泳や自転車、冬季のスピードスケートなどでは世界有数のメダル獲得数を誇っている。7倍以上の人口を持つ日本が497個であることを考えれば、文句なしに「スポーツ大国」だ。
実際、オランダ国内でも五輪委員会は招致に意欲的で、国内レベルでは招致案が検討されたことはある。しかし、その度に「待った」をかけるのがオランダ政府だ。