発達障害を持つ人も持たない人も頭を悩ます「お金の管理」。
『 ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手にお金と付き合うための本』(翔泳社)より、発達障害の当事者が教える「払込みや引落しを忘れない方法」を抜粋します。
事例―引落しや払込みを忘れる
払わないといけないのだが、行動に結びつかない
昼休みに昼食を終えて自分の席に戻ったら、ふと机の上に置いてある払込用紙が目にとまった。「あ、自動車税を払わないといけないんだった。そういえばこれ、いつまでに払うんだっけ?」と締切日を見たら今日まで!
「そうだ……。お昼を食べに外へ行くついでに郵便局へ寄って払おうと思って机の上に出したのに……」と思わず頭を抱えてしまった。
昼休みはもう終わってしまうし、今日は夕方から仕事関係の予定が入っているから払いに行く時間がない。
事情を知った同僚が「今日までならコンビニでも払えるよ」と教えてくれたが、忘れずに払える自信がない。
以前も同じようなことがあったし、クレジットカードの引落しも残高不足で引き落とせず、後日気づいて慌ててカード会社へ連絡して送金したことがあった。
気づくとハッとするし、「支払わないと!」と頭では思うのだが、なかなか行動に結びつかない。
大半の人が難なくこなしていることが、どうして自分にはできないのだろう。
原因―なぜ引落しや払込みを忘れるのか?
払込みの行動計画が不正確
ADHDの傾向が強い人には忘れっぽいという特性があり、冷静になれば「どうしてそこで忘れるの?」というときでもうっかりミスをしてしまいがちだ。忘れないよう目立つところへ払込用紙を置いておいても他のことに気を取られていると見落としやすいので、もう一歩踏み込んだ対策が必要だ。
また、時間の感覚が弱いため、日付や時間を見て「あと○日(○時間)」と残り時間を見積もることができず、余裕があるうちに対応せずについ先延ばしにしがちな特性もある。