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エストロゲンはホルモン依存性がんの危険因子

 

「エストロゲンはホルモン依存性がんの危険因子だという事は、今や教科書レベルの話です」と半田医師が言うように、がんと密接に関係しているからである。エストロゲンががん化に関わっているとする論文はたくさんある。実際に日本人の牛肉消費量とホルモン依存性がんの発生数が比例していることを見ても明らかだろう。

 外食産業のハンバーガー、牛丼、カレーなどにはこうした残留ホルモン濃度が高い牛肉が使われている可能性が高いといわれる。

 EUではこのことが分かってから、1988年にホルモン剤を家畜に使用することを禁止し、翌年にはアメリカ産牛肉の輸入を禁止した。このためにEUとアメリカの間で“牛肉戦争”が起こったが、これは今も続いている。

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日本がアメリカ産牛肉を輸入し続けている理由

 ではなぜ日本は輸入しているのか。それは、1999年に旧厚生省が「アメリカ産牛肉の残留エストロゲンは国産牛の2~3倍程度」で、危険とはいえないと報告したからである。

 2~3倍と600倍では天と地ほども違うが、これほど差が出たのは測定法が違っていたからだ。旧厚生省が使ったのはRIA法という古い検査法で、半田医師らが使った最新のLC-MS/MSにくらべ、精度は20分の1~100分の1だ。つまり旧厚生省の数値はいい加減ということになるのだが、いまだに最新の測定法で計測していない。

 発がん性だけでなく、精子の減少にも関係しているといわれ、アメリカでは前立腺がんによる死者は2万9千人余(2013年)と肺がんに次ぐ。日本は現在でこそ6位だが、2020年には1995年の6倍に増加して、やはり肺がんに次いで2位になるといわれている 。専門家は「エストロゲンの高いものを食べていい事は何一つない」と口をそろえて言う。さらにアメリカ産牛肉から検出されたホルモンには日本が禁止しているものもある。

©iStock.com

 なぜ輸入を止めないのか。元厚労省の職員に尋ねるとこう言った。

「高濃度のエストロゲンを理由にアメリカ産牛肉の輸入を禁止したらどうなりますか。日本はEUじゃないんですよ。牛肉戦争をして勝てると思いますか」

 ちなみに輸入量が最も多いオーストラリア産牛肉は誰も正確には計測していない。官僚の不作為が、やがて医療費の増大となって、国民がそのツケを払うことになるのだろう。

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