迷宮駅を形作る4本の連絡通路
新宿駅のJR線には、現在4本の連絡通路があり、北側2本が地下1階、南側2本が地上2階にある。最も北側の通路は、2020年7月に利用開始した「東西自由通路」と平行している。呼称は存在しないのだが、ここでは便宜上「東西構内通路」と呼びたい。
東西自由通路はもともと改札内の連絡通路で、その東端が東口改札、西端が西口改札だったため、駅の北側にありながら「東西」の名が残っている。現在は東西自由通路と東西構内通路の間にある2カ所の改札が、それぞれ「東改札」「西改札」と命名されている。東西構内通路の南側にある連絡通路が中央通路で、東端が中央東改札、西端が中央西改札となっている。
東西構内通路からは、直接アクセスできないホームがある。つながっているのは7~番線だけで、1~6番線へは行くことができない。ただし、東西構内通路と中央通路は東側でつながっている。そのため中央通路を経由すれば、すべてのホームへ向かうことが可能だ。二つの通路は将来的に西側でもつながり、四角形の地下通路として一体化する見込みだ。これが完成すれば、迷う人は格段に減るだろう。
三つ目の連絡通路はいわゆる「南口」へと向かうもので、四つ目はかつて「新南口」「サザンテラス口」と呼ばれていた最南端の連絡通路だ。ここではそれぞれ「南通路」「新南通路」と呼ぶが、いずれも甲州街道の陸橋に接続していて、向かい合う位置にある。甲州街道の北側が南通路、南側が新南通路だ。
覚えておきたい「北は地下で南は高架」
新南通路は、13・14番線と15・16番線ホームから離れた南側に位置しているが、ホームの端が延伸されて、アクセスできるようになった。一方で南通路からは5・6番線ホームのみ、直接行くことができない。あまりにも南側に位置している5・6番線ホームは、北端が南通路にすら達していないのだ。
そもそも南通路より北側にあるにもかかわらず、中央通路から5・6番線ホームへ行くことができるのは、あくまで延々と延びる地下通路を経由してのことだ。南通路からこの地下通路へエレベーターで下りることができるので、二度のフロア移動をすれば5・6番線ホームへ行くことはできる。
もっとも5・6番線ホームは、「成田エクスプレス」や東武鉄道へ直通する「スペーシア」といった、運行本数の少ない特急列車専用ホームであるため、利用機会はそれほど多くない。
連絡通路が上下に分かれていることで、駅全体を把握しづらいJR新宿駅だが、「北は地下で南は高架」と覚えておけばぐっと理解しやすくなる。これ以上のホームの増設は考えづらいし、構造をシンプルにする努力が続けられているため、JR新宿駅構内の迷宮化が進むことはないだろう。