ここで大切な点は、インテリア視点でのカバーリング等と衛生的な意味での洗濯のしやすさはあまり両立しない、ということです。暮らしにかけられる手間と優先順位によって、自分はどのような方法を採れるのか、ぜひ考えてみてください。
これは一例なのですが、ある育ち盛りの年齢の子どもがいるお宅では、逆にカバー類一切なしで、全て家庭かコインランドリーでの丸洗い洗濯が可能な布団本体を使用しています。子どもがおねしょをすれば、どうせ布団の中まで染みてしまうので、カバーを外したりかけたりする手間の方がかかるという判断です。
また布団でも敷き布団の多くや、ベッドマットレスの場合、奥底まで汚れた後の自力でのケアが「できない」場合もあります。専門業者への外注をしなければならないということです。
臭いやカビなどが取れなくなり、大きな布団やマットレスそのものの買い替えを余儀なくされるケースも少なくありません。これから寝具全般を購入する際にはぜひ“手入れのしやすさ”も考慮してみてください。
布団ケアの盲点とは?
さて布団ケアというと主に敷き布団、掛け布団の2点に目が行きがちですが、実は布団よりも汚れやすい、「危ない」存在があります。「枕」です。
汚れやすく汗ばみ蒸れやすい頭を毎日乗せており、かつ私たちは無意識によだれを垂らして寝ていると思われます。それらを受け止めるのが「枕」です。長期間愛用した枕の生地があやしい色や謎の模様を呈していることに気づいたことのある人も少なくないのではないでしょうか。
ただ、この枕の扱いには現実的に難しいものがあります。というのは市販の枕には素材の理由で丸洗いできないものがたいへん多いからです。しかしバクテリア、カビ、ダニなどによる健康リスクは、顔に近い分だけ布団の比ではありません。
ワンシーズンに一度は洗濯を
枕は寝心地だけでなく、その製品のケア方法までしっかり把握したうえで購入したいものです。家庭の洗濯機で洗える枕であるならば、できるだけ頻繁に、たとえば最低でもワンシーズンに1回は洗うようにしましょう。洗えない枕の場合はシーツ同様かもう少し頻繁にカバーを交換・洗濯し、布団よりも念入りに日々の乾燥を心がける必要があるでしょう。
基本的にあらゆる暮らし周りのものごとは他人に見せる(見える)ものではありませんが、そのなかでもとりわけ寝室、寝具周りの取り扱いは各家、各人「ブラックボックス」になりがちです。そのため、漠然と負担・不快を感じていながらそのままにしているようなケースが少なくないようです。
眠りは健康の礎、その場である寝室、寝具の重要性はとても高いはずです。暮らし全体に過剰な負担をかけず、しかし快適な睡眠を妨げないさじ加減でのケアを、各々模索していっていただければと思います。