うつ病とテストステロン
現代の日本では就労者の3%がうつ、さらに1%が休職しているそうです。考えてみると大変な数字ですが、ストレスの強い職種では休職率はもっと高いことでしょう。会社経営のうえでも、もはや重大なコスト要因ともいうべき深刻な事態になっています。
抗うつ薬の進歩やストレスチェックの普及で、早期に「うつ病」が診断されて多くの方が短期間の治療で「心の風邪」を治しているのは事実です。しかし回復後に以前と同じ活力と意欲で仕事ができている人は必ずしも多くありません。「うつ病」の病後ということで、「ストレスが少ない職場」に回されることもあります。他人と接触する機会が少なく、重大な判断を求められることも少ないので楽になったと感じる一方、バリバリ仕事をしていた頃と比べると達成感が少なく、さびしく感じます。
仕事のストレスも減り、抗うつ薬も飲んでいるのに、どうしてがんばれないんだろう? そう思っている方はたくさんいらっしゃるようです。
うつ病に隠されたLOH症候群
それはテストステロンが元に戻っていないからかもしれません。うつ病の原因はさまざまですが、テストステロン値が低いとうつ病になりやすく、中高年のうつ病患者はテストステロンが低い人が多いことも確認されています。
テストステロンが低くなると、これまで精力的にこなせていた仕事に強いストレスを感じることがあります。テストステロンは脳の中の記憶・認知能力に関する海馬という部位でも働いていますので、新しいアイデアを出したり、チームを引っ張ったりすることが難しくなります。
もちろん、うつ病患者全員が、テストステロンが低いわけではありませんが、うつ病と診断されてテストステロン値をチェックされていない人は、一度検査をしたほうがいいと思います。抗うつ薬を飲んでもよくならない、どんどん抗うつ薬が増えてきた、というケースでは、往々にしてLOH症候群が隠れていることがあるからです。