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私物持ち込みは120リットルまで

 確定死刑囚が室内に持ち込める私物は、許可されたものを約120リットル分までと定められている。このほか、1個当たり55リットルのコンテナ(プラスチック製ケース)を3個まで「領置品倉庫」に預けられる。東京拘置所の領置品倉庫は完全にオートメーション化され、被収容者のデータをコンピューターに入力すると自動的にコンテナが抽出されてベルトコンベアに載せられ、係員の手元に運ばれてくるシステムになっている。その光景は、さながら宅配便などの物流倉庫にそっくりだ。

 金銭は拘置所側が管理し、一定の範囲内で指定業者から食品や日用品を購入できる。食事は室内に置かれた小型テーブルでとる。自殺の可能性がある死刑囚には、木製の箸ではなく紙製のスプーンを与えることもあるという。

 食事は主食のご飯が1日1200キロカロリー、副食のおかずは1日1020キロカロリーが基準。新施設が完成してから間もない2012年10月に取材に訪れた際、昼食メニューは〈鶏のごま焼き、ナスのみそ炒め、タラのすまし汁、麦入りのご飯〉。担当の刑務官は「食事内容の評判はいい」と胸を張っていた。

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 室内では、ラジオの聴取は可能で、聞きたい場合はスイッチを入れると室内に音声が流れる。ニュースは録音したものが半日遅れで放送される。テレビの視聴はできないが、拘置所側が作成したリストから選んで、定期的にビデオを見ることができる。書籍の自費購入は1週間に3冊までが可能だ。

運動も入浴もひとり

 余暇時間内に運動を行う際は、屋上に設置された運動場が使われる。時間は1日30分。10人ほどの被収容者を集めて運動できる場所もあるが、確定死刑囚の場合、左右が壁で奥にはよろい戸がある1人用の運動場で行う。

 頭上には金網が張り巡らされ、その上に空が見えるものの、独居房と同じく外の景色を目にすることはできない。外の空気に直接触れられる貴重な機会ではあるが、車や電車の音がわずかに聞こえるだけの視界を制限された空間では、ストレスを発散するのは難しいだろう。

 上からのぞき込むように刑務官が監視するための通路があり、確定死刑囚は縄跳びをしたり、体操をしたりしながら時間を過ごす。爪切りを行えるのもこの時間だ。

 浴室も1人用を使用し、小さな浴槽とシャワーがついたユニットバスのような形になっている。外部から監視する際に一部が死角となるため、入り口外側の壁に半球形の鏡が取りつけられている。同拘置所での入浴は夏ならば週3回、冬は2回。入浴時間は原則1回につき男性が15分間、女性が20分間となっている。