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 そのインドネシアの首都・ジャカルタには、行先別にいくつかの鉄道ターミナルが設けられている。その中で、もっとも「終着駅」らしい風情を備えているのが、オランダ統治時代に建設された欧風ターミナル、コタ駅だ。駅前広場と呼べるスペースが周辺になく、客待ちのバイクタクシーや露天商が所狭しとひしめいていつも混雑している。

ジャカルタ・コタ駅。駅前広場がなく駅舎の出入口付近にタクシーが密集している

 現在は長距離列車の発着が少ないため観光客が実際に利用する機会は少ないが、日本人旅行者ならば、鉄道愛好家ならずとも発着する列車に目が向く。現在、ジャカルタ近郊を走る通勤電車の多くが、日本の中古電車を再利用しているからだ。日本の中古電車は状態が良く、しかもインドネシアの鉄道は日本のJR在来線や多くの私鉄と線路の幅が同じ(1067ミリ)なので台車交換の必要がないなどの好条件が重なっているのが要因である。

ジャカルタ・コタ駅に到着する元・都営三田線車両の通勤電車。「ジャカルタ・エクスプレス」と名乗っている【◆】
千葉県の東葉高速鉄道から東京メトロ東西線を経由して中野まで直通し、中野からその状態でジャカルタまで運ばれてきたように見える(ジャカルタ・ガンビル駅)

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 2000年に東京の都営三田線から72両が無償譲渡されて以来、JRや東急、東京メトロなど各社の車両が次々に海を渡り、この南の島で第二の人生を送っている。しかも、日本で使用された「渋谷」「快速 東葉勝田台」などの漢字の行き先表示がそのまま掲出されている。そんな電車が、古風なヨーロッパ・スタイルの終着駅に次々と現れる様子は、日本人旅行者にとっては摩訶不思議な光景である。