Q トンガの噴火で話題になった「平成の米騒動」って何?
1月15日、南太平洋のトンガで巨大な噴火があり、日本にも津波警報が出されるなどの大きな影響がありました。当日のSNSなどで、1991年6月に起きたピナツボ火山大噴火による「平成の米騒動」と比較する投稿を見かけたのですが、そのときは一体、どういうことが起きたのでしょうか。また、今回もそうした混乱が起こってしまうのでしょうか。(20代・女性・会社員)
A 家電量販店が「米を売ります!」とアピールするような事態でした。
懐かしい言葉ですねえ。1991年のピナツボ火山の噴火では大量の火山灰が噴き上げられ、成層圏まで達しました。これが塵埃という細かい粒になって、日本の上空をはじめ広範囲に太陽光を遮ったことで、翌年から冷夏が始まります。とりわけ翌々年の1993年には大冷夏となりました。
このためコメの生育に大きな打撃を与え、稲の作況指数は、平年を100として全国平均が73にまで低下しました。
政府はコメを備蓄しているのですが、その費用がかかりすぎるとして、減らし始めていた矢先のことでした。不作というより凶作のため備蓄米も底を尽き、政府は中国やアメリカ、タイからコメを緊急輸入しました。
このうち中国からのコメは、保存状態が悪く、一部は黄変米となっていたため、評判は散々。多くをタイから輸入しました。ところがタイのコメは「インディカ米」。日本の炊飯器で日本のコメのように焚くと、パサパサして美味しくありません。
タイ米であれば、チャーハンなど、それに即した料理法もあるのですが、多くの国民からは「こんなコメ美味しくない」と不評でした。タイ米が売れないものですから、米穀店の中には日本米とタイ米の抱き合わせ販売をするところも出ました。ところが、買った側はタイ米だけ捨ててしまう行動に出る家庭も出る始末でした。
日本が大量にタイ米を買い上げたことで、タイ米の国際価格が急騰。東南アジアの庶民に迷惑がかかり、「金持ち日本の勝手な行動で迷惑した」という声も聞かれました。
このときアメリカ・カリフォルニアのジャポニカ米も輸入されましたが、炊き立てなら国産米にひけを取らないと評判になりました。
この騒動時には城南電機が家電だけでなくコメも販売すると宣言。大勢の消費者が開店前から列をなしました。これが「平成の米騒動」です。今回は、そこまでのことにはならないだろうという専門家もいますが、いざというときのための備蓄米の大切さを知ったのです。
なんだかコロナ禍でマスクや防護服の備蓄の大切さを知ったことと重なりますね。
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