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10.『かがみの孤城』

『かがみの孤城』(辻村深月 著)

 中学1年生の安西こころは、クラスでの人間関係が原因で不登校の状態が続いている。ある日、彼女は自室にかかっている鏡の向こう側の世界に入り込んでしまう。その世界には城があり、こころと同様、6人の中学生の男女が現実世界から迷い込んでいた。城で待ち受けていた狼の面をつけた少女は、城の奥にはひとりだけが入れる部屋が存在し、その鍵を見つけた者は何でも願いを叶えることができると説明する。ただし、ルールを破った場合は狼に全員喰われる、とも……。

 ファンタジー的設定のもと、多感な少年少女の孤独と絆を描く感動の作品。

▼ここが魅力!

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えとう乱星「懐かしさとこれからも続くであろう日常への思いが募るファンタジックな物語。この不思議な感覚をミステリと呼ぶならば、間違いなく絶品の太鼓判を押したい」

大矢博子「子供を助けるのは大人の役目だ、という当たり前のことをあらためて強く胸に刻んでくれた感動作」

10.『ミステリークロック』

『ミステリークロック』(貴志祐介 著)

 暴力団事務所の密閉された部屋の中には組員の死体。一見、自殺と思われたが……(「ゆるやかな自殺」)。密室で殺害された美術館の館長。犯人はどうやって現場に近づけたか(「鏡の国の殺人」)。時計コレクターの作家の山荘で起きた事件の犯人は誰なのか。命がけの推理合戦が始まった(表題作)。誰も近づけない海上での殺人事件。犯人はダイオウイカなのか(「コロッサスの鉤爪」)。

 表の顔は防犯コンサルタント、裏の顔は泥棒の榎本径が、弁護士の青砥純子とともに挑む密室の謎。巧妙極まる完全犯罪計画に挑む榎本の推理が冴える。

▼ここが魅力!

大森滋樹「弁護士・青砥純子先生のトンでもなく切れ味鋭い、見事な仮説・推理を楽しみにしているのは私だけではないはず。時間の密室、音の密室と趣向も多彩で楽しい」

黒田研二「ヒネリの効いた心理トリックから凝りに凝った複雑怪奇な物理トリックまでバラエティーの豊富さに脱帽」