1ページ目から読む
2/4ページ目

ソニーのウォークマンが発売された頃には…

 83年、高校3年生になったひなた(川栄李奈)が「あかにし」の店頭で新発売の「ウォーキング・メン(ウォークマンのこと)」を見ているとき、店内のラジオでシブがき隊「NAI・NAI16」(82年/昭和57年)が流れている。ソニーのウォークマンが発売されたのは79年。「あかにし」の店頭に並んでいたのは1号機の「TPS-L2」だった。ひなたは買う金が「NAI・NAI」。

 映画村帰りのひなたが歌っていたのはBORO「大阪で生まれた女」(79年/昭和54年)の替え歌。青春の終わりと別れを歌ったブルージーな曲。歌の中の“女”は一度大阪を捨てるが、やがて大阪に戻ってくる(いずれも第71回)。なお、この回から「大月」の店先にも小さなトランジスタラジオがあるのが見える。

「ミス条映コンテスト」に出るとひなたが宣言したとき、ラジオからH2O「想い出がいっぱい」(83年/昭和58年)が流れていた。透明感のあるハーモニーで「大人の階段昇る 君はまだシンデレラさ」と歌われていたが、ひなたは時代劇の世界への第一歩を踏み出して大人の階段をひとつ昇る(第73回)。

ADVERTISEMENT

©AFLO

 伴虚無蔵(松重豊)が「大月」にやってきたとき、店頭ではあみん「待つわ」(82年/昭和57年)が流れていたが、翌朝、伴は映画村の橋の上でひなたを待っていた。時代劇を救う存在をずっと待っていたのだろう(第74回)。ひなたがバイトをしていた映画村の休憩室で流れていたのは薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」(81年/昭和56年)(第75回)。

 84年、ひなたは条映太秦映画村に就職する。BGMは日本映画誕生に情熱を注ぐ若者たちを描いた朝ドラ『ロマンス』の主題歌、榎木孝明・芹洋子「夢こそ人生」(84年/昭和59年)。「夢をみるのは生きてることさ 忘れちゃいけない夢だけは」と明るく歌われていた。「夢の工場」と称される映画の撮影所にぴったり。昼食時に休憩室で流れているのは吉川晃司「モニカ」(84年/昭和59年)(第79回)。

「そば処 うちいり」では“らしい”「少し古いヒット曲」

 ひなたが美咲すみれ(安達祐実)と訪れる「そば処 うちいり」では、よくラジオでヒット曲が流れている。都はるみ・宮崎雅「ふたりの大阪」(81年/昭和56年)、細川たかし「北酒場」(82年/昭和57年)はいずれも演歌のヒット曲(第80回)。「未成年です」とひなたが言う場面のBGMは、わらべ「もしも明日が…。」(83年/昭和58年)。たしかに「わらべ(子ども)」だ。