JR東日本代表取締役の喜㔟(きせ)陽一副社長(57)が主催し、社員ら計14人が参加した懇親会で、泥酔した社員が救急車で搬送される事態が起こっていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。

 事が起きたのは6月8日の午後7時ごろ。新宿のとある中華料理店で、JR東日本の「人材戦略部」の社員が集まり、個室で宴会を行っていた。頼んだのは2時間飲み放題で、7700円のコースだった。少し遅れて喜㔟氏が加わり、慰労の挨拶をして宴が始まった。

 喜㔟氏は東大法学部を卒業後、1989年にJR東日本に入社。2014年に人事部長となり、翌年には執行役員へと出世するなど、エリート街道を歩んできた。2018年には常務となり、昨年6月には副社長に就任した。JR幹部が言う。

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「喜㔟さんは、会社の女子柔道部やランニングチームの役員に就くなど、体育会系的なところがあり、とにかく酒が強いんです」

喜㔟氏(JR公式HPより)

 この日の宴会でも、次から次へと様々な酒が個室に運ばれていった。

「喜㔟さんはよく、挨拶の際に『乾杯の意味は“杯を乾かす”ことである』などと言って、お酌を受ける際には、グラスを空にしなければならない。だから必然的に一気飲みをする機会が増えていく。いくら無礼講と言えども、逆らうことは出来ず、部下は喜㔟さんのペースに合わせ、勧められるがまま飲む他ありません」(JR東日本関係者)

 結局、この日はワイングラスに次々と紹興酒が注がれ、600mlの中瓶が30本以上空になったという。当日、居合わせた客が証言する。

「九時過ぎには泥酔状態となった方が、トイレで嘔吐したり、店のフロア内で吐いたりと、酷い有様になっていた。店外でうずくまって動けなくなる人まで現れ、最終的には救急車二台が出動する騒ぎとなったのです」

この紹興酒を30本以上飲んだ(永昌源HPより)

 ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)代表の今成知美さんが指摘する。

「お酒を勧めた側に強要の意識がなくても、そこに上下関係などがあれば、アルコールハラスメントに成り得ます。主催者は、飲まなければいけないという空気が、醸成されないよう配慮する必要があります」