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京都新聞の“女帝”を追い詰める ベテラン記者2人の捨て身の告発

2022/07/11
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「この問題に失望し、辞めていった仲間もいた。若い記者たちは取材現場で『京都新聞は何をやっているんだ』と責められている」

 刑事告発後、記者会見に臨んだ京都新聞のベテラン記者二人は、こう語った。

記者会見する京都新聞社員の日比野敏陽氏(左)ら ©共同通信社

 6月29日、彼らが個人加盟する労組「関西新聞合同ユニオン」は、長年にわたって京都新聞を支配してきた「オーナー家」一族、京都新聞ホールディングス(HD)の大株主で、元相談役の“女帝”白石浩子氏(81)と、浩子氏の長男で、HDの元代表取締役・京大氏(48)を、会社法違反(利益供与)の容疑で、京都地検に刑事告発した。

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 告発状によると、京大氏は代表取締役だった2019年7月~21年2月の間、母親の浩子氏に対し、業務実態がなかったにもかかわらず年間3550万円を不正に支出したという。

 実は、「白石家」による京都新聞支配は、業界では周知の事実だった。浩子氏の義父、白石古京氏は終戦直後の1946年、京都新聞の社長に就任。91年に亡くなるまでの45年にわたって権勢を振るった。81年には息子で、浩子氏の夫である英司氏を後継社長に据えるなど、会社を私物化。英司氏が就任からわずか1年半で急逝すると浩子氏が会長に就く。古京氏の死後、彼女による会社の私物化がエスカレートした。