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昭和生まれは「休まず働くのが当たり前」

――ヒロミさんは昭和40年生まれで、B-21スペシャルを結成したのが昭和61年。デビュー当時はもちろん、「ワークライフバランス」という考えはないですよね。

ヒロミ ないですよ。芸能界は特にね。それに僕らの世代は、変な責任感があるっていうのかな。

 昭和生まれの男は「休まずに頑張って働くのが普通」と思って育ってるでしょ。だから、体や心の状態が悪くても、頑張っちゃう人が多いと思いますよ。

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©文藝春秋 撮影/平松市聖

――責任を背負ってしまう?

ヒロミ だってそれが当たり前だもん。あとは、男は他人に弱みを見せたくない、という気持ちもあるだろうし。

 もし「ちょっと体調が……」なんて言ったら、周りが心配するじゃない。それは嫌なんだよね。

――自分のことで気をつかわせたくない。

ヒロミ そう。だからやっぱり、僕らの世代は、堂々と「体調が悪い」とは言いにくいですよ。

 僕はママに何でも話せるから、まだ救われたところはあるかなと思います。

仕事はチーム戦。支える役割も大切

――男性更年期になりやすいといわれる50~60代は、仕事上の立場が変わっていく年代ですよね。たとえば今までの仕事を若手に取られたり、メインからサブ側にまわるケースもあります。こういった立場の変化も、不安の原因だと思いますか。

©文藝春秋 撮影/平松市聖

ヒロミ そうね。僕らの世代の人だとやっぱり、仕事内容の変化を不安に感じる人は多いでしょうね。

 でも、仕事ってメインだけが仕事じゃないから。僕も若い頃は、サッカーで言えば「前に出てゴールを決めてやる!」と思って仕事をしてたけどね。今は「下がってゴール前で守っていよう」って感じ(笑)。

 仕事ってチーム戦だから、花形の役もあれば、そうじゃない役もある。ちょっと引いたポジションにいる人も必要でしょ。

――心強いディフェンス、というポジションですね。

ヒロミ そうありたいかなぁ。仕事って、お金をもらうでしょ。だから、自分がやりたいことじゃなく、“与えられたことをやる”ものだと思うのよ。やりたいことだけを仕事にしたかったら、起業すればいい。

 俺だって、自分がやりたい仕事を選んでいるわけじゃない。そのとき求められる仕事を、プロとしてやるしかないっていうだけですよ。お金をもらう以上はプロとしてやってるわけで、それはサラリーマンでも芸能人でも同じだと思うんだよね。