「新しい地図」をスタートした約5年前、草彅剛さんがラジオドラマの脚本として出会ったのが、8月19日に公開される映画『サバカン SABAKAN』の原作小説でした。
収録中に感動で泣いてしまったというほど、本作に思い入れのあった草彅さん。映画の公開を記念して、草彅さんが同い年の金沢知樹監督と少年時代の思い出について語った対談を「週刊文春WOMAN2022年夏号」より全文公開します。(全2回の1回目。後編を読む)
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『新しい地図』になって初めての仕事
草彅 いよいよ8月に映画が公開されますね。ここに来るまで長かった。そもそも一番最初は、ラジオドラマでしたもん。
金沢 「剛でラジオドラマをやりたいんだけど、何かいい題材がない?」と、映画でもエグゼクティブプロデューサーを務めてくださった飯島さんに声をかけていただいたんです。僕が生まれ育った長崎県長与町を舞台に、子供時代の体験をたっぷり反映させた物語のアイデアをお話ししたところ、ゴーサインを頂戴することができて。剛さんに朗読してもらう前提で、映画の原作となった小説を書いていきました。
草彅 (香取)慎吾と(稲垣)吾郎さんと3人で「新しい地図」を始めた時(2017年9月)、それまでの活動ではやったことのない仕事もしたいねという話になったんですよ。最初に僕がやるはずだったのが、『サバカン SABAKAN』のラジオドラマだった。だから収録の日に、「よし、『新しい地図』になって初めての仕事だ」と思った記憶があります。
金沢 そんなに初期の仕事だったんですね。
撮影に入ると、こっちがビビっちゃうくらいの情熱
草彅 金沢さんも立ち会ってくれたけど、スタジオで6時間ぐらいかけて、ほぼ最後まで小説を読みましたよね。子供たちのセリフも僕が1人で全部読んで。本番中、読みながら感動で涙が出てきちゃったくらい素晴らしいお話だったし、いい仕事ができたなって超手応えがあったんですよ。
そもそも僕はサバ缶が大好きで。昨日家に2個しかなくて、そろそろ買っておかないとなと思ったくらい。でも、なかなか放送されないなぁと思っていたら、事務所の人に「ラジオドラマ、なくなりました」と言われて、エーッと。
金沢 僕も、超手応えがありました(笑)。ただ収録から少し経ったところで、プロデューサーから「この話は映像にしたほうがいいんじゃないかな」と。剛さんの朗読が素晴らしかったおかげですよ。より広い層に届けられる話だとイメージが広がっていったんです。