抜け道は「ハイリスクローリターン」
しかし、たとえば「中央道を降りて甲州街道を進む」など、下道に降りても混雑した道路を使ってしまっては迂回する意味がない。
たとえば中央道の大月から相模湖までであれば、山梨県道35号から神奈川県道517号、東名の大井松田から厚木までであれば神奈川県道77号から小田原厚木道路など、悪名高い渋滞区間には定番とされる迂回ルートがあり、情報もネット上に多く掲載されている。とはいえ絶対的に有効な抜け道というものはなく、渋滞の距離や通過までの時間によって、「どこからどこまでを下道で通るのがベストか」は絶えず変化する。
抜け道を効果的に使うには、自身が通るルートの渋滞多発区間をチェックしたうえで、区間ごとの抜け道を調べ、さらにケース別に「抜け道をどう組み合わせるか」を整理しておく、という周到な用意が必要になるだろう。
もちろんそこまで準備しても、渋滞した高速よりも早く抜けられる保証はない。スイスイ進める道があっても、少しの判断ミスにより混雑区間にブチ当たり、せっかくの創意が水泡に帰してしまうこともある。長時間の運転により判断力が低下した状況ではなおのこと、道を間違えたり、リカバリーに時間を要したりする可能性も高くなるだろう。
そもそも「抜け道」には走行量が少ないだけの理由があり、険しい峠道や行き違いの困難な道なども多い。運転に慣れていないドライバーの場合はとくに、普通に渋滞を通過するよりも疲労が溜まってしまうケースもあるだろう。抜け道作戦を敢行する際には、疲れた状態で土地勘のない場所を走るリスクを十分考慮しておきたい。
総じて、土地勘がない場所での抜け道は「ハイリスクローリターン」な選択肢である。それでもチャレンジしたい場合には、Googleマップの「マイマップ」機能(「Googleマップ」上で、お気に入りの地点を登録したり、オリジナルの経路を編集したりと、利用者自身がカスタマイズした地図を保存・共有できるサービス)を使うなど、複数のルートプランを保存し、すぐに確認できる環境を整えておきたい。
途中で立ち寄れる施設を把握しておくことも重要
渋滞に対する「抜け道」以外の対策としては、旅程に「プランB」を組み込んでおくことが挙げられる。渋滞多発区間の手前で長時間過ごせる施設を探したり、下道へと迂回した際に景観を楽しめるルートを探したりと、渋滞の待ち時間を「旅行の一環」へと転換できるプランを練っておきたいところだ。
いずれにせよ、渋滞対策には事前の準備が大切である。そうでなければ、素直にナビの案内に従うのが望ましいだろう。とくにGoogleマップやYahoo!カーナビなど、混雑状況を考慮したルートを提案してくれるナビであれば、下手に人間がその場で判断するよりもスムーズに到着できることが多いはずだ。
状況判断と意思決定に要する労力も馬鹿にならないので、安全運転の面でもルート管理は機械まかせにしてしまった方がいいのかもしれない。とはいえGoogleマップはとくに、過酷なルートを案内するケースも見られるため、同乗者がいるのであれば複数のナビでルートを見比べてもらうのも有効だ。