今年は鉄道開業150周年の記念すべき年、ということで何かと賑やかしい。150年だろうと149年だろうと、お客の立場にすれば特に何も変わることはなく、毎日満員電車にうんざりするだけなのだが、まあなんとなく節目の年ということで前向きな感じがするのは悪くない。

 そしてその150年前、明治に入って間もないころに開業した鉄道は、新橋~横浜間であった。これくらいは教科書にも載っているくらいだから、けっこう有名なお話だ。

新橋駅前にSLがあるけどじつは…

 そういえば、新橋駅にはSLがあるなあ、などと思った人。確かに新橋駅前にはSL広場という街頭インタビューのメッカがあって、そこにはSLがどーんと鎮座している。さらにSL広場とは反対側、ゆりかもめの乗り場の前には鉄道唱歌の歌碑まで置かれているではないか。さすが150年前のターミナル……というのは、もちろん間違いである。

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 150年前の新橋駅は、名前は新橋でも新橋にあらず。街頭インタビューの背景になじむ例のSLは鉄道開業100周年を記念して当時の国鉄から寄贈されたものだというが、実際に150年前にはあの場所に鉄道は通っていなかった。ならば、どこが150年前の新橋駅だったのか。

 このあたりもだいぶ有名な話なので、鉄道に詳しくなくてもご存知の人は多かろう。150年前の新橋駅があったのは、いまでいう“汐留”と呼ばれる一帯である。

 わざわざ詳しく書き連ねる必要もなかろうかも知れないが、汐留を歩いてみよう。

“ナゾの鉄道開業の駅”「汐留」には何がある?
今回の路線図。150年前の新橋駅があったのは、いまでいう“汐留”と呼ばれる一帯

「汐留」には何がある?

 新橋と汐留は違うといいつつ、実際にはまったく隣り合っていて、新橋駅の東側、新橋駅前ビルの向こうにそびえるビル群、それがもう汐留である。

 
 

 せっかくだからSL広場から汐留に向かうとすると、SL広場の北側からJR線のガードをくぐって東へ歩く。ここからさらに北へ向かうと天下の銀座に通じるが、今回の目的地は逆方向の南側。

 
 

 第一京浜(国道15号)を南に進んでヤクルト本社(2連覇おめでとうございます)と新橋駅前ビルの間を抜け、ゆりかもめの高架下に出たら左に曲がると、とたんにまったくそれまでとは違う高層ビル群の中に突入する。もうこのあたりまでくれば、150年前の新橋駅の跡地だ。