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「訓練を受けた人材が全く足りていない」

「戦場では情報収集などを任務とする『警戒部隊』が前線を監視しています。15キロ先に敵の部隊が迫っていることが分かれば、後方の主力部隊にアラートを発する。敵が優勢な場合、警戒部隊は自らを捨て石にして、他の部隊を逃がすのです」

 しかし、この警戒部隊がほとんど機能していなかったと関口氏は分析する。

「戦場の映像などを見ると、ロシア軍の警戒部隊が真っ先に逃げ出したように見受けられます。さらにパニックが連鎖し、次々と部隊が逃げて、総崩れ状態になったようです。ウクライナは機甲部隊を温存していたのでスピードも出せる。そのため短期間で広範囲の地域を奪還できた。ロシア軍は命令に基づく『撤退』と主張していますが、武器弾薬さえもそのまま置いて後退するのは、戦略的撤退ではなく単に逃げたと思われても仕方ありません」

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 なぜそこまでロシア軍は弱くなっているのか。前出の大木氏が語る。

「ウクライナ軍が行った機甲突破には、現場の指揮官の判断力が大きく影響します。一方のロシア軍は、一時期、高級指揮官の戦死が話題になりましたが、それ以上に下級指揮官が多く負傷したり死んだりしている。それによって経験を積んで訓練を受けた人材が全く足りていないのです。指示に従うことしかできない人ばかり。未熟で杜撰な動きになったのでしょう」

 大木氏は、10月初旬から秋の泥濘期となり、軍隊の移動が難しくなるため、戦線は膠着するだろうが、地面が凍結する11月以降に、再び戦局が動き出すと分析する。