「スタンガンは護身用で持っていた」
初対面の20代女性にスタンガンを押し当てバッグを奪い、さらに騒ぎを聞きつけ取り押さえようとした通行人の男性にもスタンガンを当て負傷させたとして、静岡県裾野市の会社員・佐藤紀裕容疑者(27)が強盗致傷の疑いで逮捕されたのは、11月12日のことだった。
事件は当初から不審な点が多くあった。なぜ静岡県に住む佐藤容疑者が渋谷にいたのか、なぜ初対面の女性をターゲットに選んだのか、なぜスタンガンという物騒なものを持ち歩いていたのか。
文春オンラインが事件の背景について取材を進めると、佐藤容疑者の素顔と、スタンガンを所持していた“本当の理由”が浮かび上がってきた。
スタンガンを当てバッグを奪い、取り押さえられた際にもスタンガン
事件をおさらいしておこう。事が起こったのは12日午後1時ごろの渋谷道玄坂。佐藤容疑者と被害者の女性はツイッターを通じて連絡を取り、この日ファーストフード店で初めて顔を合わせている。犯行に及んだのはその直後。女性にスタンガンを当て、その隙にバッグを奪って逃走を図った。
聞こえてきた異様な電撃音と女性の叫び声に気づいたのは通行人の男性3人。白昼の渋谷を逃げる佐藤容疑者の後を追い、とっさの判断で身柄を取り押さえる。ところがその際、男性のうち1人が容疑者のスタンガンの被害に遭う。
「犯人は体格がよく、油断した隙に右脇腹にスタンガンを当てられました。経験したことのない痛みが身体中を走って、今もその痛みから来る違和感に苦しんでいます」(20代の被害男性)
佐藤容疑者はなぜ今回のような事件を起こしてしまったのか。「そもそも目的は強盗ではなかった」という。警察関係者が解説する。