――サーキットに出て走ることもあったそうですね。
桐野 レースはしたことはないんですけど、九州にある弊社のサーキットや他のところでも走ったことはあります。でも、こっちも2022年はゼロなんです。走りに行かなきゃと思うけど、山の中にあるので冬はあまりに寒くて(笑)。行くなら3月あたりかなって。
――サーキットに出るのは、新車のテストが目的?
桐野 いやいや、私はテストなんてできませんよ。ただ新車が出たら“自分ち”のものだし、お客さんに買っていただく前に自分で乗ってみたいじゃないですか。とりあえず、新車が出たらすべて私が乗っています。もはや仕事として乗ってなくて、楽しんじゃっています。
でも新技術がてんこ盛りのオートバイだと、重量もあるし、シート高も高くなるので、乗るのがしんどい。万が一にもひっくり返したら大変ですからね。Ninja H2 SXは過給エンジンなので全開にするのに勇気がいりますし、スーパーバイク世界選手権に出たNinja ZX-10Rは機能がすごすぎて、私は性能の10分の1も使えない。
――現在の愛車は……。
桐野 Ninja 650です。
「文系出身」「女性」にデメリットを感じたことはない
――バイクが好きとはいえ、それでも文系出身者が技術系の川崎重工に入ったことでデメリットを感じたことはありませんか。
桐野 なんにも感じなかった、というか考えませんでした。いま思うと、学生時代って「こういう仕事をしたい!」となっても、本当になにをやりたいのかはボンヤリとしているものですし。最初のうちは、その延長で働いてしまいがちですからね。
――入社後は、お茶くみをしたことはありましたか。
桐野 はじめて明石工場に配属された総合職の女性ということで大騒ぎになりましたが、当初から、当時の一般職の方がされていたお茶くみなどはやらなくてよい、と上司から言われました。
そのあたりは上司や先輩の女性社員たちが苦労して変えていったようです。
――バイク好きからは“漢のカワサキ”と呼ばれていますが、どういったニュアンスでしょう。
桐野 弊社のオートバイは、あまりユーザーフレンドリーじゃなかったんですね。たとえば最高速や最高出力はどこにも負けなかったけど、女性ユーザーが乗るにはちょっと大変かなっていう。細かいところだと、サイドスタンドが出しにくいとか。そこで“漢のカワサキ”と呼ばれるにいたっているんじゃないかと。最近は親切な装備が増えて、意外と女性の方にも乗っていただいてます。