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“何気ない”けど“当たり前”じゃない「町おこし」

 つかさ像の設置後、市外のファンだけでなく地元の人たちも撮影に訪れているといいます。地元の人たちとファンとの交流も続いており、「らき☆すた」の痛車を作った地元の人もいれば、交流をきっかけに久喜市内に引っ越してきたファンもいます。「らき☆すた」の町おこしは、商工会の長年の努力もあって、普段はアニメを見ない地元の人たちにも浸透しているのです。

 
 

 企画もアニメ頼みではなく、地元主体であり、企画の理由付け(大義名分)があってファンも支援しやすいパッケージになっていること。また、声がうまく出せないのに出席を希望した福原さん、急な依頼にすぐ対応した美水さんとの関係もうかがえること。郵便局の敷地内に像を作る調整や、版権料もクリアしつつ像の予算をオーバーしても進行ができる体制になっていること……。

 こうした点は、一見すると何気ないことのように見えてしまいますが、“当たり前”ではありません。この手の「作品と連動した町おこし」企画を取材すると、自治体が予算の乏しさから、作り手側に負担をかけたり、作品への理解がないまま無理難題を持ち出す例を聞くこともあります。

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 久喜市商工会は、次々とユニークな企画を出せる理由について「企画を考えるときに会議の場よりも、雑談で方向性が決まることが多い。また会議のメンバーは、制限せず、やりたい人が集まっているから楽しい」と明かしています。

 
 

 町のあちこちに「らき☆すた」の息吹が根付く久喜市の鷲宮地区。訪れる人たちの中には、「らき☆すた」好きが高じて、地元の祭りの実行委員会に参加し、アニメとは関係のない町のイベントを手伝う人もいて、彼らの存在は地元でも一目置かれています。「町おこし」は自発的だからこそ長く続いていくのです。

写真=久喜市商工会提供

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