12月19日には自身のCEO辞任を問うアンケートを実施し「結果には従う」と宣言していたが、辞任を求める回答が過半数を占めたにも関わらず、「CEOを引き受ける愚かな人が見つかればすぐに辞任する」として、辞任する気配はない。
Twitterの買収に伴う資産売却で世界1位からは陥落したものの、テスラやスペースXなどを創業したマスク氏が大富豪であることには変わりはない。その彼からすれば、巨額の赤字に苦しんでいたTwitterを自分は「救った」のだから、他の所有企業でそうであるように王様のように振る舞っても問題はない、と考えたのだろう。
しかし、TwitterのようなSNSは人間の感情の集合体だ。その中には、もちろん故人も含まれる。生活のインフラであり魂の依代でもあるSNSのような場所でオーナーが傍若無人に振る舞えば、ユーザーは嫌気が差して当然だ。
もしかすると「テクノロジーが全てを解決する」と信じるマスク氏にとっては、SNS=依代のようなサービスは実は最も苦手とする領域なのかも知れない。マスク氏の買収以降もTwitterの広告収入の減少は止まっておらず、認証バッジの有料化を軸とするサブスクサービスによる再起を狙っているとされるが、肝心の人心が離れてしまっては、誰もただの青いバッジアイコンにおカネを払おうとは思わないだろう。
mixiには10年以上前に亡くなった方のアカウントも健在
既に筆者の周りでも、Twitterの投稿ログをダウンロードして、他のサービスへの「引っ越し」を模索する人が現れ始めている。あくまでも自分の投稿に限定されるが、こちらで案内されている方法で全ツイート履歴をダウンロードすることが可能だ。
かくいう筆者も、履歴のダウンロードと引っ越しの検討を既にはじめている。日本のSNSユーザーにとってはこの引っ越しには、“既視感”もある。2011年ごろまでSNSの代名詞だったmixiが、いわゆる「足あと問題(自分のページを誰が訪れたかわかる機能をmixiが廃止しようとしたこと)」で揺れた際データをダウンロードする動きが相次いでいたことだ。
本稿の執筆にあたり、筆者のmixiを久しぶりに開いてみた。2004年からの投稿がちゃんと残っており、mixi全盛期に亡くなった方の懐かしい投稿も確認することができた。この膨大なデータを維持することはmixi社にとって巨大なコストだが、Twitterで今回のようなことが起きると、mixiがきちんとアーカイブを残していることにはあらためて敬意を表したくなる。