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ヨモギを食べて失神してしまった参加者も…

のん 本人が自覚していないアレルギーが出てしまう可能性もありますね。食べる会の参加者が、みんなで作った野草料理を食べているときに、倒れてしまったこともありました。

 慌てて救急車を呼んで運んでもらったんですが、後で聞いたらよもぎのアレルギーがあったようです。本人もヨモギを食べて倒れるなんて思っていなかったし、私も参加者のアレルギーまで把握しているわけではありません。それ以降、参加者には必ずアレルギーの有無を確認するようになりました。

 日常で食べるものとは違う新しい味との出会いは楽しいものですが、その際は注意が必要です。未知のものを食べるときは必ず体調のいいときに、そして少量にすることを勧めています。

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 たまにむやみやたらに口に入れてしまう人もいるのですが、アレルギー以外にも寄生虫などのリスクもあります。野草を食べるときは、食べる前に図鑑を読むこと、必ず洗って火を通すことを実践していただきたいです。

センダングサ、シロザ、ヨモギ、キクイモ(花)、マツヨイグサなどを使った野草料理が完成した。味が濃くて、どれも絶品 ©筆者撮影 
スパイスとココナッツで炒めたシロザ。参加者絶品のひと品だ ©筆者撮影

――「野草」というと健康茶のイメージもありますが、そうした方面には行かないのですか?

のん 栄養素よりも、目の前にある野草の姿を観察することを重視しているので、健康に関しては特に意識していません。ただ、個人的に実感している健康効果はありますよ。食べることで改善するというよりは、野草を採取するときに、土に触れるという行為のおかげかもしれません。

 実は会社員時代はすごくストレスフルな生活だったせいか、20代なのに白髪や脱毛に悩んでいたんです。ところが、365日野草生活を始めてからは、それがすっかりなくなりました。野草の力がというよりも、自然と触れ合うこと、植物を観察することで生活のバランスが取れたのではないかと解釈しています。

 会社員時代にウサギの餌を確保するために野草生活を始め、そこから野草生活1本になり、自然観察指導員の資格を取って今に至ります。なので、観察会では環境問題の話題も入れるようにはしています。でも、私の活動は基本的に「初心者に身近な植物を楽しんでいただきたい」というところがあります。野草観察の魅力をポップに伝える――これからもそんなスタンスを続けていきたいです。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。