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「みんな、ChatGPTの扱いがもったいない…」ほとんどの日本人がチャットAIを使いこなせていない“決定的要因”

ChatGPTのホントの話/深津貴之インタビュー #1

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それでもChatGPTは仕事の役に立つ……?

深津 そうですね。確率にしたがって回答するという特徴もありますし、ネットが学習ソースなので、ネットに広まってるバイアスも取り込んでしまっていますから、常に正確な回答を求めるのには向いてないですね。ChatGPTを開発したOpenAIも、バイアスに気づいたら人力で排除しているでしょうけど、データ量が膨大なだけに完璧にはやりきれていないと思います。「正しい答えを知る」ならググるほうがいいですね、今のところ。

――あくまで「本当らしいことを言うマシン」だと。

深津 僕はそう考えています。よく言われてる「AIがウソをつく」というのはそういうことですよね。ChatGPTくん本人はウソをついているつもりはなくて、自分なりに確率上もっともありそうなことを答えているだけですから。そういうシステムで動いているというだけです。

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単語の関連で確率上もっともありそうなことを回答するため、誤った情報を自信満々に回答することもしばしば。「正しい答え」を知るのにChatGPTは向いていない

――それでも、いまのChatGPTは仕事の役に立ちますか?

深津 それは間違いないと思っています。“知識を得る”のではなく、“作業させる”方向性で使えば、とても役に立つでしょう。「一般論を教えて」「文章をまとめて」「要点を言って」みたいな。ChatGPTは人間のように文章を続けられるので、平均的な人や、平均的な専門職の人間が会話の中で解決するような作業を任せるのには良いんですよ。

――会話のなかで解決する作業というと?

深津 例えば「結婚式のスピーチを書いたから、レビューして修正点を教えて」とか。先ほど例に出た「企画を考えて」ではなく、「こんな企画を考えたけど、ヒットの法則に照らし合わせてレビューして」のようなタスクが得意です。プログラミングのレビューも得意ですね。

 秘書であり、編集者であり、校閲であり、メンターであり、トレーナーであり、上長であり、そういったものの代理なんです。あるいはそういった相手に見せる前のシミュレーションとして使うのが、僕のオススメの活用法です。(#2に続く)

※2023年2月28日に取材を実施

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