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甲殻類のほか、軟体動物、イエダニにアレルギーがある人も要注意

 コオロギと甲殻類アレルギーの関係性について、食品の安全性等を専門とする科学ジャーナリストの松永和紀氏が解説する。

「欧州食品安全機関(EFSA)は、コオロギには甲殻類のほか、軟体動物、イエダニに対してアレルギーを有する人にアレルギー反応を引き起こす可能性があるという見解を示しています。これらは、トロポミオシンというたんぱく質を持っていてアレルギーの原因となります。コオロギにも、構造が丸っきり同じというわけではないけれどよく似たトロポミオシンが含まれています」

 コオロギブームには思わぬ落とし穴がありそうだ。エビやカニはもちろんのこと重篤なアレルギーを引き起こす可能性のある食品、たとえば卵や小麦、蕎麦などを使用した食品には食物アレルギー表示が義務付けられている。だが松永氏は、コオロギにアレルギー表示を義務付けるのは難しいと見ている。

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食用のコオロギ Ⓒ時事通信/NTT東日本

目新しい食品に対しては、ある程度の警戒心を

「アレルギーを引き起こす可能性があるけれど、アレルギー表示の対象になっていない食品というのは無数にあります。発症数が多く、症状が深刻になりやすいものに関しては必然的に表示義務が生じます。

 ところがコオロギに関しては、食べる人が少なく摂取量もわずかで、発症者数も非常に少ない。事業者に表示を義務付けたり推奨したりするにはそれなりの科学的根拠が必要ですし、表示を義務付ける場合には国が『分析法』を確立する必要があります。分析できなければ違反の監視ができず、表示を義務付けしても制度として実効性がありませんので」

 目新しい食品に対しては、消費者自身がある程度の警戒心を持たねばならない。

「新規の食品というのは、もしかしたら自分にアレルギーがあるかもしれないと念頭に置いておく必要があるでしょう。例えば、昨今のナッツブームで健康にいいからとバンバン海外から輸入し、くるみやカシューナッツなどそれまで食べていなかった人たちが食べ始めました。その結果、ナッツアレルギーの発症例が増え、くるみには3月からアレルギー表示が義務付けられました」(同前)

撲我さくらさん

 アレルギー表示は後手に回らざるを得ない。なんの注意喚起もないからと、一時のブームに乗って珍しい食べ物を口にするのはよくよく考えてからにしたほうがよさそうだ。

「あの時のコオロギが最初で最後です。今後一生食べることはないですね」

 撲我さくらさんはそう苦笑いした。