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なぜ、この村が“日本一の金持ち村”なのか

 飛島村の人口は約4600人。村としてはごく標準的だ。そして、約22平方キロメートルという村域の多くは田園地帯である。稲作のほか、麦や大豆、ほうれん草・ネギといった野菜も生産されている。また、金魚も特産のひとつだ。お隣の愛知県弥富市は、金魚の三大産地のひとつであり、それに隣接する飛島村もまた、金魚が特産なのだ。

 このように特産品こそあるものの、飛島村は典型的な“村”そのものといっていい。名古屋のすぐ近くにこうした村があることが驚きだが、それにしてもなぜ、この村が“日本一の金持ち村”なのか。

 答えはシンプルで、飛島村はもうひとつの顔を持っているからだ。その顔とは、名古屋港に接することからわかるとおり、工業地帯としてのそれである。

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 飛島村のメインストリートを南に下ってゆくと、国道23号(名四国道)に出る。村内を南北に走る県道と、東西に貫く名四国道。たくさんのトラックがひっきりなしに走る国道は、名古屋市港区、港湾部から木曽川と揖斐川を渡って三重県海沿いの工業地帯へと続いている。

 

 そして、飛島村においては国道を東に歩いてゆくと、名古屋第二環状自動車道にぶつかる。村内にもインターチェンジがあって、続く先は埋立地の工業地帯だ。

 飛島村に入った飛島公共交通バスは、近鉄蟹江駅から村内の中心地を抜け、村役場を経てさらに村の南東にある「公民館分館」というバス停を終点としている。まさにこの場所は、工業地帯としての飛島村の入り口にあたる。

 

 工業地帯には貯木場が置かれているほか、トヨタ自動車や川崎重工などのなみいる大企業の工場が林立。いちばん海に近い南端には火力発電所まで建っている。この海沿いの工業地帯が、飛島村を“日本一の金持ち村”たらしめているのだ。