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やりたい放題だった「安倍一強」
そういえば安倍一強は検察人事にも手を突っ込んでいた。検察庁法改正案である。本来のルールなら黒川弘務東京高検検事長は「定年」で「退官」するはずだった。しかし安倍内閣は2020年1月31日の閣議決定で、黒川氏の定年延長を決めたのだ。当時の記事を見てみよう。
《政府関係者によると、次期検事総長の人選は、昨年末から官邸と法務省との間で水面下で進められた。同省から複数の候補者が提案されたが、安倍首相と菅官房長官は黒川氏が望ましいとの意向を示したという。》(読売新聞2020年2月21日)
ギョッとする。こんなことが普通に書かれていたのだ。保守派の産経新聞も社説で次のように驚いていた。
《あまりに不自然である。黒川氏の定年延長ありきで恣意的に法解釈を変更したと疑われても仕方があるまい。》(同年2月24日)
やりたい放題だった「安倍一強」。しかし安倍氏が亡くなり、派閥のトップも決まらないまま漂流しているうちに今回の裏金疑惑である。一気に「闇」が出てきた。ジャニーズ問題といい、今年の漢字は「闇」でもいい気がする。
地味な印象だったが…
さて今回、私が「5人衆」の中で注目したのが松野博一官房長官だ。比較的地味な印象だったが、裏金疑惑(1000万円超)である。
松野氏が公式サイトでうたうのは「公募制度から生まれた日本で初めての衆議院議員」。2世議員でも官僚出身でもなく、地元後援会は自力でつくったという。このエピソードを紹介する東京新聞の記事では「金権政治のイメージがない松野氏の疑惑が出たことで、(政治とカネを巡る問題が)常態化してきた状況が浮き彫りとなった」という識者のコメントがある(12月9日)。