地球温暖化が喫緊の課題となり、世界各国で加速している脱炭素運動――。これらの運動は、「地球温暖化は人間が石油や石炭などの化石燃料を大量に燃やしたことで発生した、大気中の二酸化炭素濃度の増加が原因である」という“二酸化炭素悪玉論”に起因する。

 しかし、火山学・地球科学研究の第一人者である鎌田浩毅氏(京都大学名誉教授・京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授)は、地球温暖化と二酸化炭素の関係について、次のように明かす。

「地球温暖化への二酸化炭素の寄与度は、研究者によって9割から1割まで意見が大きく分かれている。と言うのは、地球の平均気温を決める要素が他にもあるからだ」

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鎌田氏

太陽活動と地球の平均気温の関係

 では、地球の平均気温を決める他の要素とは何なのか。まず一つが、「太陽の活動」だ。鎌田氏が解説する。

「太陽の表面には『黒点』がある。黒点が多く存在する時は、太陽の表面で爆発が次々に発生しており、太陽放射総量が増し、膨大なエネルギーが地球まで降り注ぐ。この結果、地球はより多くのエネルギーを受け取るので温暖期になる」

 そこで過去400年間の「太陽放射総量」と「平均気温」を比較すると、太陽の活動が活発化するにつれて地球の平均気温が上昇したことが分かるという。

「1960~2000年の黒点の相対的な量と平均気温を比較してみると、地球の気温は11年の周期でゆっくりと上がって急に下がる現象が見られる。こうした規則的な気温変化が太陽黒点の変化ときれいな相関があり、太陽活動の11年周期と比較的一致する点がみられる。地球の気温は過去30年の間に3度ほど上昇してきたが、温暖化の原因は、温室効果ガスだけではなく、こうした太陽の周期活動の影響も考えられるのだ」

 太陽活動が活発になれば、地球の平均気温も上昇する。その一方で鎌田氏は、太陽活動が緩慢になることで地球の平均気温が低下する可能性もあると、過去の寒冷期の例を挙げて語る。