昨年12月に発覚した日本を代表する自動車メーカー「ダイハツ工業」で30年以上にわたって行われていた組織的不正。第三者委員会の報告書では、エアバッグの衝撃実験をタイマー作動で誤魔化すなど顧客の命に直結するような悪質なケースまで数多く報告されており、こうした不正が長年、野放しにされ続けてきた。

 今回、報告書に記載された不正現場に実際立ち会ったこともあるダイハツの現役管理職A氏が「週刊文春」の取材に応じ、社内で何が起きていたのかを証言した。

ダイハツ本社(HPより)

現場の不正を「知らないはずがない」

 A氏が語る。

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「不正が続いていたことは、今回の発覚以前からもちろん知っていました。現在の社長はトヨタ出身ですが、他の役員や幹部はほぼダイハツの生え抜きです。最近の事案はともかく、現場で不正が蔓延っていたことを知らないはずがない。報告書を読んだ社員には、知らぬ存ぜぬを決め込む経営陣に、不信感を口にする者も多くいます」

第三者委員会の調査報告書より

 第三者委員会の報告書では、不正の原因について社員アンケートを行ったところ、「開発スケジュールが過度にタイトになる傾向」「発売時期や開発日程遵守のプレッシャー」が最多の回答になったとしている。この“過度にタイトなスケジュール”が現場で運用されるようになったきっかけとして報告書に記されているのが、2011年に発売した軽自動車「ミライース」の短期開発の成功だった。