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「本当にこんなところを借りる人がいるんですか?」空き家になってから20年、築100年の空き家をよみがえらせる不動産会社の“リアルなテクニック”

『老いる日本の家』より #2

genre : ライフ, 社会

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「ニーズはいろいろありますし、住宅以外の新たな活用方法を提案する事業者も増えています」(空き家活用株式会社・和田代表)

 普通の消費財と違って家はただ1人の「欲しい」という人を見つけられればいい。2023年12月に施行された改正空き家対策特措法では、用途規制も緩和された。その名の通り低層住宅のための用途地域である第一種低層住居専用地域に建つ空き家は、これまでは住宅以外の用途に転用することができなかった。1階が店舗で2階が住居という形が精一杯だったが、今回の改正で各市区町村が定める要件に適合すれば別の用途に活かせるようになったのだ。空き家を単に家ではなくハコとして捉える流れが加速することが期待される。

「異世代ホームシェア」が全国各地で広がり始める

 所有者にとっても思い入れを引き継いで使ってもらえるのであれば満足感が高い。それは同時に、血縁での相続に縛られた固定観念から脱却し、責任を持って使ってくれる人に大切な家をバトンタッチすることを意味する。空き家の存在が地域や街の活性化にもつながっていく。

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 そして空き家になる前の段階でもこの考え方は効力を発揮する。今、「異世代ホームシェア」が全国各地で広がり始めている。大学などの近くに住む高齢者の家に大学生が間借りをする、昔でいうところの下宿だ。たとえば京都府では「京都ソリデール」と名付けて自治体が両者のマッチングを支援している。空き家予備軍の段階から次世代との縁をつなぎ、地域に開いていこうという試みだ。

「本当にこんなところを借りる人がいるんですか?」空き家になってから20年、築100年の空き家をよみがえらせる不動産会社の“リアルなテクニック”

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