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子役のシーンはより慎重に。保護者への説明や性教育も

――過去の作品を例に、もう少し具体的に仕事の内容について伺います。例えば、昨年公開された是枝裕和監督の映画『怪物』のシーンで一例を挙げると?

浅田 私はメインキャストの少年2人のシーンを撮影するにあたってオファーを頂いたんです。当該シーンでは、少年たちの互いへの想いが溢れます。廃電車の中で、1人の少年がもう1人をギュッと抱きしめます。その時に心と体がどう反応する可能性があるかを監督と話し合いました。

少年2人と廃電車(『怪物』公式サイトより)

――実際にはどんなことをされたのでしょうか?

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浅田 少年役の2人は撮影時、小学生と中学生でした。日本では小学校4年生で性教育を行いますが、実際、彼ら2人がどの程度、理解しているかはわかりません。そこで、思春期の男性の体にはどのようなことが起こるのか、この場面で描かれている事柄はどういったことなのかなど、体の仕組みから教える性教育を行いましょう、と提案しました。

――驚きました。そこまで配慮されるんですね。

浅田 当然、仕事だからといって、勝手に性教育を行うことはしません。最初に保護者にもなぜ必要なのかを説明し、納得していただきました。その上で、少年役の2人は、プロデューサーと一緒に選定した専門家の方からの講義を受けました。

©鈴木七絵/文藝春秋

 また、作品中には男性同士の恋愛が大人に否定的に扱われる場面もあります。そのため、例えば同性を好きになることは間違ったことではないなど、LGBTQの観点での教育も必要と感じ、合わせて提案しました。ですから2人とも専門の講師から講義を受けるプロセスを踏んで、撮影に臨んだんです。

俳優人生を歩むうえで傷を負うことがないように

――それらの知識を身に着けることが、子どもたちの心身の安心・安全を守るためには必要だった。

浅田 そうです。俳優人生を歩んでいくうえで傷を負うことがないよう、特に未成年のインティマシー・シーンは子どもたちを守りながら、慎重に対応し、作り上げる必要があります。

 彼らが体やジェンダーについて必要な知識を身に着けることで、自分たちが演じた役柄や内容は揶揄されるシーンではない、と理解出来ます。