ドリンクだけの注文もOKだ。こちらも抹茶にこだわっている。「アイスグリーンティー」、「抹茶」だけでなく、「抹茶ラテ」や「抹茶フロートラテ」は人気メニューだ。「リンゴジュース」と「ミルク」以外は抹茶を使っていて、コーヒーや紅茶類はないという潔さ。
さっそく「クリーム白玉あんみつとアイスグリーンティーのセット」(1480円)を追加注文してみた。待つこと5分で登場した。「アイスグリーンティー」は思った以上に濃くやや苦い大人の味である。これはいける。「クリーム白玉あんみつ」は抹茶アイス、こし餡、白玉、みかん、抹茶寒天と豪華にそろい、それに黒蜜をかけていただく。「あんみつ」を食べたのは5年ぶりだ。こちらも抹茶のほろ苦さがよい。店長にきくと、外国人には「抹茶わらび餅」も人気だという。
店のコンセプトが秀逸だった
株式会社ノア 企画制作部PR・事業戦略課の佐藤 孟さんに話を伺うとなかなか面白い戦略がみえてくる。
佐藤さんによると、茶蕎麦だけでなく、甘味を置いた方がいいという意見は随分前から出ていたという。しかし隣にある同系列のNOA COFFEEと被らないメニューを作る必要があった。
そして茶蕎麦を出す店だから、抹茶に特化した甘味やドリンクを提供しようということになり、しかも、茶蕎麦だけにこだわらず、甘味セットだけ、ドリンクだけの利用でもOKというメニュー構成に変えたという。その結果、店の敷居が下がり、利用者が一気に増加していったという。
観光客の憩いの場所に
前回取材した3年半前と大きく変貌したのは、インバウンド利用者の急増だ。当時はコロナ禍であり、若い女性や近所の年配者が細々と利用している状況だった。しかし、現在、コロナも下火になり凄まじい円安効果も重なって「吉茶庵」では利用者が増加し、しかも半分以上が外国人であるという状況がずっと続いているそうだ。
しかも観察していると面白いことに気が付いた。竹下通りを大勢で歩く外国人はお目当てのポテトフライ屋、クレープ屋、グッズ屋などに押しかけていると思うが、その大半は竹下通りを練り歩いて散歩している人たちがほとんどである。つまり、落ち着いて休憩できる場所を探しており、「吉茶庵」がまさにピッタリの休憩場所になっているのだ。そこに海外でも人気の抹茶のスイーツがあり、抹茶ドリンクもあり、茶蕎麦もあるというわけである。