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 1トップですね。上田が定着してきたけど、彼のバックアップがいない。上田が怪我していなくなったら、1トップはどうするの、ってことになりかねない。その場合、南アフリカW杯の時のようにゼロトップになる可能性もあるけど、そうなると攻撃の部分での組み立てを再考しなければならなくなる。センターFWのバックアップをどうするのかは、非常に大きな課題だと思います。

1トップで存在感を放つ上田綺世選手 ©時事通信社

小川航基と細谷真大の起用が難しい理由

――今回招集された小川航基選手、U23日本代表の細谷真大選手はその候補だと思われますが。

 小川は海外でもプレーしているから、期待していたんです。ミャンマー戦でスタメン出場して2点を取ったし、よく動いていたけど、あのレベルの相手に対してボールを収めることができないし、周囲との連携面も今ひとつ。動いてはいるけど、そこにボールを呼び込めていない。総合的に判断するとぜんぜんダメだったので、森保監督も難しいなと思ったはずです。

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 細谷は、抜群に体が強いし、スピードもあるいい選手。でも、いい時と悪い時の差があり過ぎるし、自分の強みや弱みをきちんと理解していない。それを理解していないので、全部を一生懸命にやってしまう。だから、プレーに余裕というか、落ち着きがないんです。

 あと、感覚でプレーしているのですごいシュートを決めたかと思えば、なぜそれを外すのか、というシーンも多い。シュートの再現性がないので、ゴール数が伸びない。監督からすると今は使いにくい選手かなと思います。

上田が欠けた時、チームはどうするのか

――1トップは上田の台頭でクリアになりつつありますが、今度はそのバックアップが課題になるとすれば、日本は、ずっとFW問題に悩まされている感じですね。

 日本は、センターFWタイプがいないですから。日本だけじゃなくて、世界のチームもそうだと思うけど。

 上田は、今回の3-4-2-1のシステムを活かすために欠かせない選手であり、これから攻撃の軸になっていく選手。センターで受けることができるのは彼だけなので、不在になると違うチームになってしまう。現状、Jリーグや海外組を見ても上田の背中を追える選手が見えてこない。上田がいいだけに、彼が欠けた時、どうするのか。最終予選もセンターFWの悩みは継続していくでしょうし、もしかすると日本の最大のウィークポイントになるかもしれません。

取材・文=佐藤俊