ステージ4のがん患者となったベテラン医療ジャーナリストが読者に伝えたいこととは――。前立腺がんの治療を続けながら執筆を続ける長田昭二氏(59)だが、がん治療にはどれくらい費用がかかるものなのか。その内実について詳細に解説する。
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治療費はいくらかかっているのか?
1月24日の受診時、院内での僕の動きは次の通り。
9時20分 病院到着
9時40分 検査科で採血
10時30分 腎泌尿器科外来受診(ここで化学療法が効き始めていることを知る)
11時30分 整形外科外来受診
12時50分 化学療法室で抗がん剤治療
15時00分 終了
そしてこの日僕が病院に支払った医療費は2万6000円だった(国保・3割負担)。
読者の皆さんはこの金額を見て「高い!」と感じるかもしれないが、いまの僕にとっては当たり前の価格帯となっている。
がん治療が始まってから、病院で支払う金額に「万」の単位が登場することは珍しくなくなった。
ちょうど青色申告の時期ということで税理士さんに出す領収証の仕分けをしていた。2023年の1年間で、僕が東海大学病院に支払った医療費は63万4981円。月平均にすると5万2915円。処方された薬の総額は50万7744円、月あたり4万2312円。年間の医療費総額は114万2725円。つまり毎月9万円を超す医療費が支払われているのだ。
もちろん、月によって多い少ないはある。医療費で見れば、前立腺全摘術の合併症として起きた左足のリンパ浮腫に対する手術を受けた2月は9万3660円、また第1回目の化学療法のために入院した11月は16万8588円と高額だったのに対して、MRIなどの検査もなかった1月、3月、9月などは2万円を下回っている。処方薬も、経口の抗がん剤を飲んでいた期間は毎月4万4400円を支払っていたが、病院での化学療法に切り替えてからはそういうことはなくなった。