「ジョジョ石」とも呼ばれている「擬音岩」
「この彫刻は『擬音岩』と名づけられているのですが、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦作)に描かれている擬音と形が似ているので、漫画の登場人物のポーズをマネして彫刻と一緒に撮影する人もいます。あっ、無理して石の上に乗っていただかなくても結構です」と話す。
この漫画の登場人物のポーズは、人間には不可能なものまであり、一般に「ジョジョ立ち」と呼ばれている。このため、擬音岩は「ジョジョ石」と言われるようになったという。
羽咋市のHPには、ジョジョ石の写真が掲載されている。
「擬音岩をジョジョ石として売り出し始めた時、当時の職員がジョジョ立ちのポーズを決めて撮影しました。写っている職員はもう別の課に異動していますが」と電話の職員は説明を続ける。
なかなか乗りのいい市役所だ。
そうした振興策にもかかわらず、駅前にあった二つの喫茶店は閉店してしまった。
前出のタクシー運転手は「駅を出て、右と左に一つずつありました。一方はもうだいぶん前に閉まりましたが、もう一方は能登半島地震が起きた後も頑張っていました。なのに数カ月前に閉店してしまって。昭和の雰囲気がある、いい店だったのですけれどねぇ」と残念がっていた。
UFOに次ぐUFOの…
駅前には他にも「常識を超えた物」がある。
UFOのオブジェ、UFOの街路灯、駅のホームにもUFOの絵が描かれていた。
商工観光課の職員は「羽咋市では運がいいとUFOが見られるらしいのです。私は運がよくないみたいで、実際に見たことはありませんが、見に来る人は大勢います。一度に観光バスが3台も来ることがあるんですよ」と話す。
市内には宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」がある。
能登半島地震などで傷んだ生活支援のため、羽咋市商工会が発行した20%のプレミアム付き商品券は「UFO商品券」と名づけられた。
能登観光でコースが組まれる最北の地
羽咋市の地震被害は酷かったのだろうか。石川県が8月1日にまとめた被害状況によると、羽咋市内では死者1人、軽傷者7人。住家の損壊は全壊が65棟、半壊が524棟、一部損壊は3046棟となっている。奥能登ほど酷くはないが、かなりの被災はしているようだ。
商工観光課の職員は「市内ではほとんどの観光施設が再開されているので、徐々に観光客も入ってきているのではないかと思います。ただ、民間の観光会社では旅行プランを組む時には、羽咋までしかゴーサインが出ないという話を聞きました。羽咋より奥能登側は危ないと思われているようで、羽咋までしかコースに入れない傾向があるようです」と語る。
能登観光でコースが組まれる最北の地が羽咋市だというのだ。
市内の「道の駅のと千里浜」に来客が絶えないのは、そうした裏返しだろうか。