生後6カ月から、ずっとモスクワ育ち
――こうしてお会いすると、「この世の全てを疑ってそう」には見えませんね。冷めきった感じとか、謎めいた感じがするとか、言われますか。
きり そのあたり、私は意識してなくて。宣材写真があんな感じになったのは、笑っている写真を撮ったんですけど、笑い方がぎこちなさすぎて見ていられなかったんです。それで、消去法で笑っていない写真になっただけで。愛想笑いみたいなのもできないですね。
――でも、経歴のほうがインパクトは大きいですよね。「出身地:静岡県生まれ、モスクワ育ち、東京に実家有」に「最終学歴:チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院ピアノ科 中退」という。これは、本当ですか。
きり 本当です。生後6カ月から、ずっとモスクワで。だから、静岡生まれといっても静岡のことをなにも知らないですし、東京のこともまだよく知らないです。
――ご年齢は。
きり 21歳です。2年前に東京に来たので、モスクワには19年いました。
――物心ついてから、目の前にはクレムリン。
きり そうですね。クレムリンから徒歩20分圏内のアパートに住んでました。そこから、ロシアの幼稚園、小中高、音楽学校に通って、という。
――ロシア語が話せない状態で、幼稚園へ?
きり 入園前に、両親がロシア語の先生を付けてくれて。おかげで、そんなに言葉で苦労はしてないですね。逆に、日本語の敬語は苦手ですけど。言葉も問題なかったし、ロシアはいろんな国民がいたので、浮くようなことはなかったと思います。
ロシアは基本的にどこでも平等な教育が受けられる
――ロシアの小学校も6年制。
きり そんなにちゃんと分かれていなくて、1年生から11年生まで一貫なんですね。たぶん、日本でいうと小学校から高校までが全部一緒になってる感じで。日本みたいに6歳になったら入学とか、入る年齢が決まっていないので、5歳から入る子もいれば、8歳から入る子もいて、その子の成長に合わせていつ入ってもいいみたいな。
――通っていたのは、公立校ですか。
きり そうです。私立もありましたけど、私はずっと公立の普通校で。
――モスクワでもクレムリン近くの公立となると、名門校が多いわけですか。
きり ロシアってあんまりそういうのがなくて、基本的にどこでも平等な教育がされているんです。で、なにか専門的に学びたいとなると、私立に進む感じになるんだと思います。語学とか音楽とか、美術とか。
生徒の学力も、地方の学校になると違うとかあるかもしれないけど、モスクワ市内の学校になるとそんなに大きな差もないはずです。
――モスクワ市内は富裕層が集中していて、学校の生徒はそういう家の子たちばかりとか。
きり そんなことはないですね。基本的に普通の家庭の子たちが集まってます。もちろん、校内では経済的な差はあるかもしれないですけれども、お金持ちだけが通う学校があったりするわけでもないですし、そもそもモスクワはお金持ちしか住めないとかもないので。