閉ざされたリゾートホテルと列車の来なくなった終着駅。この組み合わせだけでも、もうなんだかだいぶ寂れたというか、廃れたというか、そういう印象を抱かせるに充分だ。
だいたいの人は、夕張といったら“財政破綻した町”というイメージを持っているに違いない。そんなイメージ、先入観にぴったりの、夕張駅跡の風景である。
小さなロータリーを後にして北に歩くことにした
小さなロータリーとセイコーマートの脇を抜け、夕張駅跡から北に進む。すると、10分ほど歩けば夕張の中心だ。立派な構えの市役所もあるし、その周りにはいくつかの建物が並ぶ。いつだったか、このあたりで食べたカレーそばは美味かった。なんでも夕張の名物らしい。
さらに市役所前の一帯から志幌加別川を渡って北に抜けると夕張本町、つまり夕張のいちばんの中心市街地に出る。かつてはまさに一大繁華街、多くの商店が軒を連ねて活気に満ちて、北の端には百貨店まであったという。いまでもその当時の面影はほんのりと残り、「ゆうばりキネマ街道」なる看板も掲げられていた。
が、かつて百貨店があったところに建てられたホテルはこちらも営業休止中。シャッターが降りている店も目立つし、すっかり廃墟のようになってしまった建物もちらほらと。町中を歩いていても、中心地だというのにほとんど人の姿を見かけることはない。
夕張市は深刻な財政難から2007年に財政再建団体に指定された。全盛期には11万人を超えていた人口も、いまでは6000人台にまで落ち込んでいる。
2011年には鈴木直道現北海道知事が市長に就任してその清新さが注目されたし、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭も1990年以来開かれている当地のビッグイベント。マウントレースイに外資が進出し、外国人観光客で賑わったこともあった。
が、そうした中でも人口の減少には歯止めがかかっていない。結局、中心市街地を北に抜けるまで、人とすれ違うことはなかった。