赤ちゃんのときから台詞をしゃべるまで

――撮影はどんちゃんが3歳半になったころに終了になったそうですが、なぜそのタイミングだったんですか?

沖田 やはりスタートが赤ちゃんビデオというコンセプトですから、どんちゃんに自意識が出てきたら終わりだと思っていました。おぎゃあおぎゃあで始まったのが、台詞を言えるところで終わったら、一本の作品として面白いと考えて、どんちゃんが一言だけ台詞を喋ったときに終わりを決めたわけです。

 

――しかし完成はそれから5年後の2022年になっていました。

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沖田 3年で撮影を終えてから、僕の仕事が立て込んで、なかなか取り組めなかったんです。出演した俳優さんからは、もう完成しないんじゃないかと言われていました(笑)。そこに2020年にコロナ禍になって、みんなが家から出られなくなった。そうだ、この期間に終わらせようと編集を始めて、仕上げたわけです。

――結果、2時間半くらいの映画になりました。

沖田 『横道世之介』と同じくらいですね。素材はけっこうあって、台本がなくてもみんなで集まってお祭りに行って撮っていたりしましたから。

『おーい!どんちゃん』を撮影した家の前で ©文藝春秋

――本当にプライベートビデオだったんですね(笑)。ちなみに俳優の皆さんのギャラなどは?

沖田 ちゃんとまともには払ってないんですけど、上映会で入ったお金でご飯を食べに行ったり、地方の上映イベントにみんなで行ったり、還元するようにしています。

――映画を観た多くの人から好評をもって迎えられてます。

沖田 役所広司さんがぜひ観たいとおっしゃって、チラシにコメントも寄せてくださったり、びっくりしています。自分としてはこれを作品と呼んでいいのか、正直まだ分からない部分もあります。うちの娘可愛いでしょというホームビデオを2時間半見せられている気持ちになったりしないかなと思っています。ただ、僕も何度か映画館で観て、あの長い尺を飽きずに観てしまうので、ある程度は面白いのだろうと思っています。武蔵野館で一般の映画と一緒に上映してもらえれば、普通の映画として面白く観てくれる人がいるかもしれない。そんなことを期待する段階になっています。