正体不明の廃墟を発見…

 さらに進むと、動物園の入口・不老門があった場所に差しかかる。しかし、橋も門も残っておらず、痕跡らしいものは見当たらない。

動物園の入口があった付近を対岸から眺めてみたが、痕跡はほとんどない

 山側に正体不明の廃墟があるが、これは温泉時代のものだろう。川側には稼働している取水施設があり、過去には水害もあったようなので、風景が変わってしまった可能性が高い。

右手に現役の取水施設、左手に正体不明の廃墟に挟まれた遊歩道を進む

 さらに階段を上りながら先へ進む。階段はコンクリートではなく石造りで、開業時の明治時代に造られたものだろう。

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明治時代に設けられたであろう石の階段を上る

 階段を上っていると、左手にコンクリートの構造物が見えてきた。これは箕面温泉の源泉で、厳重に管理されている。

 源泉の奥には、またもやトンネルのような動物の檻が残っていた。先ほど見た檻と大きな違いはないように見えるが、内部を覗き込むと奥行きは少ない。2メートルほどで行き止まりになっていた。

 当時の地図によると、ここには熊がいたようだ。

箕面動物園地図 ©箕面温泉スパーガーデン
奥行きがないが、ここには熊がいたという

 しかし、こんな小ぶりのトンネルだけでは狭すぎる。トンネルは網で塞がれておらず、トンネル前の平地も含めて動物の檻があったようだ。

熊の檻の前には平地があり、ここも熊のスペースになっていたようだ。現在は箕面温泉の源泉がある。櫓は、温泉を掘った時のものだと推測される

 こうして110年以上が経った今でも動物園の痕跡をリアルに見ることができるのは、とても嬉しい。

 ここからさらに奥へ進むと、スパーガーデンの露天風呂に接近してしまうため、危うきに近寄らず引き返す。

これ以上進むと露天風呂に接近してしまう

 山を登って別ルートで引き返しつつ、観覧車のジャイアント・ホイールがあった場所も確認したが、特に痕跡は見当たらなかった。

探索中に出会った猿。箕面の猿は、動物園から逃げ出したものだという説もある

 これまで箕面動物園南東のごく一部のエリアを見てきたが、西側に移動することにした。こちらには動物の檻はないが、財界人クラブ“松風閣”も残っている。

松風閣。茶室建築の手法を取り入れた数寄屋造りの3階建

 南支配人によると、松風閣はレストランの別館として2019年まで使われていたが、現在は老朽化のため使われていないという。

 さらに西側のエリアを探索していると、無数の廃道が……。