なぜでしょう? それは、子どもが決定権を握ることで、家庭での揺るぎないポジションを獲得するためです。

宿題の決定権争いに参加してはいけない

子どもは、家庭の中で自分という存在を一生懸命アピールします。それは、生まれながらに持った、生きるための本能でもあるのです。これは潜在意識でしていることなので、子ども本人も意識していない領域になります。

「宿題をやらせなくちゃ」「宿題をちゃんとやるまで見ていなくちゃ」。親がそう思った時点で、宿題に関する決定権争いは始まってしまいます。そう、宿題の決定権争いは、実は親から始めていることがほとんどなのです!

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ここでは、そんな宿題にまつわる身近な問題を解決する声かけを紹介していきます。

ケース1:宿題を嫌がる子どもへの声かけ

×「宿題をやりなさい!」

この声かけは、宿題という決定権争いに親を引きずり込もうとする子どもの思惑にまんまと引っかかっている、典型的な例です。

ちょっと宿題をサボれば、親は積極的に決定権争いに参戦してくれる。子どもにとっては絶好の場面なのです。

宿題の主体は子どもだと認識させる

さあ今日からは、そんないとも簡単な挑発に乗るのはやめましょう。次のように言えばいいのです。

○「(学校〈塾〉でたくさん勉強してきたのに、帰ってきてまで)宿題なんて、やりたくないよね」

「宿題をやりたくない」という子どもの気持ちに寄り添うことで、宿題の主体は子ども自身であることをしっかりと認識させることができます。

そしてもう一つ、この寄り添いの声かけをすることで、子どもはあるがままの自分を受け入れてもらったという安心感が芽生え、自ら宿題に向かう心を育むことができるのです。

「こんなこと言ったら、本当に宿題をやらないから困る‼」

そんな悲鳴が聞こえてきそうですね。

では、宿題をやらなくて困るのは誰でしょう? 宿題の主体は、そもそも誰ですか?

もし宿題をやらなくて困ることがあるなら、一番困るのは、主体である子ども本人なのです。宿題をやらなくて困るという経験を子どもから奪うことは、宿題の主体を親が奪うということなのです。