「自分の心が悲鳴を上げました」28歳で退職を決意したきっかけ
――その生活に疑問は持たなかったんですか。
アジアン あるとき、後輩が肉体的も精神的にも参ってしまって、倒れてしまったんです。出社できなくなってしまって。でも代わりは誰もいないから、後輩の仕事は誰かがやらないといけない。
だから、自分の仕事は夜の11時くらいに終わらせて、そこから後輩の仕事を6時間から8時間くらいやり、少し仮眠して、また朝から自分の仕事をやるという状況が続いて。さすがにそのときに、自分の心が悲鳴を上げました。
そんなときにふと、ネットのワーキングホリデーの記事を見て、いいなと思ったんです。大学生のときにサーフィンをしにバリに行ったことがあって、海外には興味がありました。期限が30歳ということを知って、そのとき27歳だったので、もう迫ってるなと思ったんです。
でも忙しさにかまけて1年くらいグダグダしてたんですけど、進めていた仕事がちょうど終わるタイミングがあったので、そのときに「新しいことにチャレンジしたいので辞めます」と会社に言って、28歳で退職しました。
キャリアを中断することへの恐怖心はあったが…
――それでワーキングホリデーに行かれるわけですね。キャリアが途切れることに不安はありませんでしたか。
アジアン 一度、会社に入るとそこから抜けるのはすごく怖いことでした。そのときの自分の考えでは、30歳手前というのは、一般的に仕事もできるし頼りがいのある年齢で、自分もその枠に入らないといけないという気持ちが強かった。
それに、もしそのタイミングで1回キャリアを中断して海外に行くのであれば、例えば英語が喋れるようになるとか、そういう目標がないと行ってはいけないんじゃないかと考えていたんです。だから、僕の中では非常にハードルの高いことでした。
でも、不安を言い訳にして行かなかったら、すごく後悔するんじゃないかなと思ったんです。「ワーホリから帰ってきたら、再就職できないかもしれない」という不安があったとしても、それはやってみないとわからないことですよね。最終的には、「もし再就職先に困っても、これまで頑張ってきた自分なら何とかなる」と考えて、オーストラリアに行きました。