「会社の業績がガタガタと落ちてしまった」43歳で退職を決意するまでの経緯

――で、会社をまた辞められるんですよね。

アジアン そうですね。決定的になったのは、コロナ不況でした。2020年に入ってから会社の業績がガタガタと落ちてしまって。早期退職を募るようになって、僕もその対象に入っていたので、自ら手を挙げたんです。

 自分の未来が見えていることに怖さを感じていたなかで、「次はこういうビジネスをしたい」という強い意志を持っていたわけではないんですけど。ワーホリに行ったときと同じように、まずはやってみたいことをやってみようと考えて、43歳のときに会社を辞めました。

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――「やってみたいこと」は何かあったのですか?

アジアン もともと、仕事をやり続けて定年退職したら「日本国内や海外を旅しながら生活してみたい」と思っていたんです。

 でも、自分が60歳になったときに元気でいる保証もないですし、40歳を超えてから、マインドが年々弱気になって、自分を強く保つのが難しくなっているのを感じていて。「今やらなかったらできなくなるんじゃないか」と思うようになって。

改造した軽トラックの内装。冬は凍えるほど寒くなるという(写真=本人提供)

「あまりお金がなくても生活できるんじゃないか」

――旅をして生活するのは今しかできないと考えたわけですね。

アジアン 海外に行くためのお金に不安があったんですけど、そこでちょっと考え方を変えてみたんです。これまではお金を貯めようと思って生きてきて、結局貯まらなかった。それは、お金を稼ぐことを目標にしすぎていたせいかなと思ったんですね。

 お金は何かをするためのツールでしかないので、「何かやりたいことがあって、そのためにお金が欲しい」というマインドにしないといけないと考えました。

 で、そもそも僕のやりたいことは、お金がないとできないことなのかな、と考え直してみたら「いや、あまりお金がなくてもギリギリのラインで生活できるんじゃないかな」と思って。それからは必要最低限のお金以外、なるべく使わないような生活になりました。