「夫の信仰心がなくなったことは伝えようと思って、メディアに出させてもらっています。
しかし人間関係とかもあるんでね。もう終わりにしたいなと思っています」
教祖・麻原彰晃への忠誠を誓っていた新実元死刑囚だったが、死刑執行の前には帰依から抜け出していたのではと妻は考えている。
新実元死刑囚が拘置所で日記に残した言葉がある。
新実元死刑囚の日記から抜粋
「今、尊師と●●(妻の名前)どちらを選ぶかと言われたら迷うことなく●●(妻の名前)を選ぶ。あの様な生き方だけでなく、もっと他の生き方もあったのではないだろうか。
その時が来たら僕は教祖にはついていかない。来世は弟子になることはないだろう。僕は今、決別してしまったのだ」
妻はこの日記を見たとき、大きな心境の変化があったという。
「自分は日記を見た時に夫の信仰心がなくなったのが分かったから、自分も完全になくなりました。アレフに入ったことを後悔はしていませんが、家族にすごく迷惑をかけて苦しませてしまいました。オウム真理教に関わってほしいわけがないので」
「入信すべきではない」事件知らない世代へ最後のメッセージ
後継団体「Aleph」は公安調査庁による「再発防止処分」で施設が使えない状態が続いているが、今も1600人の構成員がいる。
2023年までの10年間で新たに加わった構成員のうち、その半数を20代が占めるという。
「若い人、特に20代が入信する傾向にあると感じます。あんまりオウム真理教を知らない世代ですよね。
やっぱり若い人たちがああいうカルト団体に入るのは、心のよりどころを求めているんですよ。だから親御さんが子どもに対して心のキャッチボールをしておいてほしいなって思います。安心感を与えることが大切なんだろうなと、すごく思いますね」
新実元死刑囚の妻も、当初地下鉄サリン事件を起こした団体ではないと聞かされ、2002年に入信した。
それでも、オウム真理教が、許されないことをした団体ということは分かっているものの、取材中、「Aleph」を悪く言うことはなかった。